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接客の記憶をデジタルで蘇らせる。トゥモローランドがBrazeで切り拓くアパレルOMOの新境地

Use Caseエンゲージメントリテンション
Topicsクロスチャネルパーソナライゼーションカスタマーエンゲージメント
Industryリテール & eコマース
Productメールアプリ内メッセージキャンバスコンテンツカードA/Bテスト
接客の記憶をデジタルで蘇らせる。トゥモローランドがBrazeで切り拓くアパレルOMOの新境地
課題

以前利用していたMAツールでは、アプリ会員85万人以上へのパーソナライズ配信が技術的・コスト的に困難でした。接客の記憶をデジタルで活かす手段がなく、一括配信に限定されたまま、既存顧客のロイヤルティ向上が課題でした。

戦略

BtoCのデジタル全域を統括する組織体制を基盤に、ECと実店舗の購買データを統合。購入翌日に接客スタッフの情報を自動配信するThank you配信シナリオを導入。またアプリ連携の拡張でキャンバスによるカート落ちシナリオの自動化を実現。早稲田大学 消費者行動研究所との共同研究でA/Bテストによる最適配信タイミングの検証も進めています。

成果

スタッフのコーディネートお気に入り登録数が実施前後比較で約190%増加。アプリ連携によりキャンバスによるカート落ちシナリオの自動化が可能になり、メール許諾会員の枠を超えたアプリ会員へのパーソナライズ施策が展開できるようになりました。

トゥモローランド
INDUSTRY
PRODUCTS USED
指標による成果

190%

スタッフコーディネートお気に入り登録数増加率(Thank you配信実施前後比較)

590%

1配信あたりのサイト訪問数(Thank you配信と配信平均との比較)

御社の事業の強みと、デジタルコミュニケーション部の役割についてお聞かせください。

弊社は1978年にアパレルメーカーとして創業し、現在は「TOMORROWLAND」をはじめとする15ブランドを展開しています。創業の頃から「ファッション=ライフスタイル」という考え方がベースにあって、衣服だけでなく飲食や2026年に開業したホテル事業まで、暮らしそのものを提案し続けてきました。今回開業したホテルも、その考え方が大きく具現化されています。

デジタルコミュニケーション部は、EC・Webマーケティング・MA・CRM・広告・カスタマーサポートから店舗のポスター制作まで、BtoCのデジタル全域をひとつの部署に集約した50名規模の組織です。ECやMAやCRMをそれぞれ別部署の縦割りで担うことが多い業界の中で、全部まとまっているからこそバランスが取りやすく、施策全体を有機的に繋げられるのが弊社の強みだと思っています。

デジタルコミュニケーション部 部長 上田 知弘氏

デジタルコミュニケーション部 部長 上田 知弘氏

CXの観点では、Brazeを使ったメール・アプリのキャンバス作成やUI/UX改善など、日々の施策の実施や運用の見直しや改善などを継続的に行なっています。ブランドとしてのものづくりの質の高さを、デジタルのコミュニケーションでも体現したいというのが、チームとしての共通の思いです。

Braze導入前の課題と、選定の決め手についてお聞かせください。

以前利用していたMAツールは、アプリとの連携など拡張開発に多大な開発コストがかかる構造でした。アプリでパーソナライズされたメッセージを届けることが最優先課題だったのですが、その要件を詰めるためにもコストが必要で、そこからさらに見積もり計算というプロセスでした。

当時、アプリダウンロード数はすでに85万人を超えていましたが、実際にアプローチできていたのはメール許諾会員の30数万人だけでした。転機となったのは、先にBrazeを導入していたアパレル企業の担当者の方に直接話を聞く機会があったことです。実際に使っている方たちが口を揃えて評価するなら間違いない、と確信しました。

アプリ連携の強さに加え、以前のツールでは開発コストが高くて実現できなかった位置情報を活用するためのジオフェンス機能を活かした店舗送客施策も、Brazeなら実現できる手応えがあったことが最終的な決め手になりました(荻原氏)。

デジタルコミュニケーション部 WEBマーケティング課 マネージャー 荻原 利修氏

デジタルコミュニケーション部 WEBマーケティング課 マネージャー 荻原 利修氏


私が管理画面を実際に見た時、以前のツールとの処理スピードの差に衝撃を受けました。以前のツールは動作がとにかく重く、単純にシナリオを組むだけでも相当時間がかかる作業でしたので、その場でもう「もっと早くならないものか」という気持ちになりました。Brazeの画面の直感的な使いやすさも、とても印象的でした(山内氏)。

Brazeの導入・初期設定はどのように進めましたか。

以前のMAツールからのリプレイスは、技術パートナーに伴走いただきながら、自分たちが主体となって進めました。設計でこだわったのは、とにかくシンプルにすることです。複雑に構成されたシステムがブラックボックス化するケースをよく耳にしていたので、担当者が変わっても属人化しにくい設計を目指しました。

カタログやカスタムイベントのフィールドやプロパティも、将来の施策を見越して設計しています。ある施策のためにカタログを作るとしても、次回の施策でも使えるフィールドを一緒に入れておけば1つで済む。そういう積み上げができているので、データ構造がとてもわかりやすい状態を保てています。DWHであるDatabricksとの連携もこのシンプルな設計が活きてくると考えています(上田氏)。

実際の設定作業はチームで担当しましたが、Brazeのサポートチームにとても丁寧に対応いただき、安心して進めることができました。以前の切り替え時は手探りでのスタートでした。今回はどこを押さえればいいかをチームで十分議論し、共有した上で臨めたのも大きかったと思います(山内氏)。

Brazeによる具体的な施策と成果についてお聞かせください。

外部からの支援を入れずに、自部署のみではじめて実装した施策がThank you配信です。実店舗でスタッフが接客してご購入いただいた翌日に、担当スタッフのコーディネート写真・顔写真・名前・スタッフページへの動線を自動でお届けしています。ロイヤルカスタマーをつくるためには、商品だけでなく人や店を思い出してもらうことが鍵だと考えていました。POSの購入データとスタッフマスタ情報をBraze上で突合し、ユーザー行動とスタッフを紐づけています。スタッフとお客様が繋がり、次に洋服を買おうと思ったときにそのスタッフの顔が浮かぶような関係性を育てること——それが弊社のOMOの起点です。

施策開始後、スタッフのコーディネートお気に入り登録数は前後比較で約190%増加しました。アパレル以外の知人から「接客の記憶は薄れてしまうから、こういう仕掛けはいいね」と言ってもらえたことで、手応えをさらに感じました。ダイナミックパーソナライゼーションを実現するLiquid記述の社内勉強会もスタートしており、こういった一歩踏み込んだパーソナライゼーションを自分たちの手でさらに広げていきたいと考えています。

TOMORROWLANDのモバイルインターフェース。スタッフのスタイリング、新着商品、ポイントプログラムなどの顧客エンゲージメント機能を表示しています。

Thank you (スタッフ紹介)配信例

アプリとの連携が本格稼働してからは、キャンバスによる自動シナリオが仕事のあり方を大きく変えてくれました。以前は全会員への一括配信しかできなかったアプリ通知でしたが、カート落ちをはじめ、さまざまなメール施策をアプリに横展開できるようになりました。

デジタルコミュニケーション部 WEBマーケティング課 CXチームリーダー 山内 鈴子氏

デジタルコミュニケーション部 WEBマーケティング課 CXチームリーダー 山内 鈴子氏

さらに現在は、早稲田大学 消費者行動研究所との共同研究でカート落ち後の最適な配信タイミングをA/Bテストで検証しています。1時間から24時間後まで複数パターンを走らせており、現在6〜9時間が優勢という結果が出始めています。メール経由のカート落ちはブラウザのセッション管理の問題で離脱リスクが高かったのですが、アプリはログイン状態が維持されるため、ここからのコンバージョン改善にとても期待しています。

BrazeAI™の活用状況と、今後の展望をお聞かせください。

BrazeAI™はここ数カ月でだいぶ進化し、現在、積極的に活用しています。LiquidのコードをBrazeAI™に生成させることも増えてきました。アプリ側で発生した技術的な問題をBrazeAI™に相談したところ適切な回答が返ってきて、それをそのまま開発パートナーに投げたら「ずばりそういうことです」と。事前理解が格段にスムーズになりました。

私はBrazeAI™が手放せないほど活用しています。ユーザープロファイルを使ってお客様のデータを確認する際も大活躍で、コードもLiquidも出してくれます。BrazeAI™のおかげで問題を自己解決できる場面が増え、スピード感がまったく違います(山内氏)。

今年度はLP機能を活用してアプリのパーソナライズ施策を全面拡充し、来年度以降はLINE連携も進めていく予定です。本部が全体最適なシナリオを回すベースをつくりながら、各ブランドや店舗スタッフからアイデアが上がってくる関係性もつくりたいと考えています(荻原氏)。

ECで商品をお気に入り登録されたお客様に近くの店舗の在庫情報をお知らせするなど、ジオフェンス機能も駆使しながらアプリ配信をリッチ化していく。オンラインとオフラインを自然に繋ぐアプリ配信を可能な限り増やす。——それが私たちの目標です(上田氏)。

トゥモローランド logo

アパレル以外の知人から「接客の記憶は薄れてしまうから、こういう仕掛けはいいね」と言ってもらえた時に、Thank You配信(スタッフ紹介配信)に手応えを感じました。Brazeでスタッフとお客様を繋げることで、次に洋服を買いたいと思った際に商品だけでなく、スタッフや接客体験も思い出してもらえる。そこが私たちのOMOの起点です。

上田 知弘
デジタルコミュニケーション部 部長, トゥモローランド
男性2人と女性1人の、笑顔の3人が、マネキンが置かれた衣料品店の中に立っている。

Key Takeaways

トゥモローランドの成果

トゥモローランドは、Brazeを活用して購入翌日のスタッフ自動配信によるOMO施策を実現し、スタッフのコーディネートお気に入り登録数を約190%増加させました。アプリ連携の強化により、メール許諾会員の枠を超えたアプリ会員へのパーソナライズ配信が可能になっています。早稲田大学 消費者行動研究所との共同研究ではカート落ち後の最適配信タイミングをA/Bテストで検証中(現在6〜9時間が優勢)で、データドリブンなOMO推進によって国内アパレルのデジタルマーケティングをリードする体制を構築しています。


今こそ、進化するマーケターに。