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金融業界のマーケティングで大事なことは?施策例やポイント・成功事例も紹介

公開 2025年6月19日/更新 2025年6月19日/13 分で確認

金融業界のマーケティングで大事なことは?施策例やポイント・成功事例も紹介
作成者
Team Braze

DXが進む昨今の金融業界。マーケティングにおいても、データや高度な知見にもとづく施策が求められています。

金融業界でマーケティングが重要視される背景やマーケティングの施策例、注意点や必要なツール、成功事例などマーケターに求められる知識を、この記事を通して把握しましょう。

1.金融業界でのマーケティングの重要性

まずは、なぜ金融業界においてマーケティングの重要性が高まっているのか、その背景を理解しておきましょう。

1.1. 価値観の変化や顧客ニーズの多様化に合わせるため

消費者の価値観の多様化はさまざまな業界で語られていますが、金融分野も例外ではありません。人々が自分らしいライフスタイルを模索するなか、資産形成や各種ローンへのスタンスなどもまた細分化しています。

価値観の変化や多様化する顧客のニーズに合わせるために、金融業界でのマーケティングの重要性も高まっているのです。

1.2. 他社との差別化競争に打ち勝つため

FinTech企業の登場に代表されるように、金融業界は異業種からの参入も多く、競争が激しいことで知られています。

ある会社が良い金融商品を用意すると、そのあとには競合他社がすぐさま類似サービスを展開するなど、純粋な商品価値のみで他社との差別化を実現し続けるのは難しい状況です。

他社との差別化を明確にし、顧客の新規獲得や既存顧客の継続が課題となっている背景があることから、顧客のニーズに合わせたアプローチが求められているのです。

1.3. CX(顧客体験・顧客体験価値)の質の向上が大事

多様化する顧客ニーズや競合との差別化といった課題を踏まえたうえで現在注目されているのが、CX(顧客体験・顧客体験価値)です。

マーケティング活動により顧客一人ひとりに適切なアプローチを見つけ出し、商品に顧客体験という新たな価値を付加することで、自社独自の魅力を生み出せます。

CXの重要性や向上のポイントは以下の記事もご確認ください。

>>CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?向上のためのポイントや施策を成功させる道筋について

2. 金融業界のマーケティング施策例

では、金融業界のマーケティング施策の例を見ていきましょう。

2.1. オウンドメディア

オウンドメディアとは、自社が保有するメディア(例:Webサイトやブログ)のことです。

商品はもちろん、金融に関する学びや豆知識などを発信し、資産運用やローンへの関心、自社への愛着などを育てていきます。

2.2. コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングとは、消費者に対して魅力的なコンテンツ(動画、画像、文章など)を提供する手法です。

オウンドメディアやメルマガ、SNS投稿などを通じてブランド価値やユーザーからの信頼を高めていく取り組み全般を指します。

2.3. メルマガ(メールマガジン)

王道のマーケティング手法であるメルマガは、読者がニュースの購読を自ら望んだ方たちである点が特徴です。

メディア記事では読み飛ばされてしまうような専門的な解説をしたり、相場急変時に長期目線の重要性を長文で説いたりと、自社の現顧客や顧客となる可能性の高い層に熱量の高いアプローチができます。

2.4. ホワイトペーパー

ホワイトペーパーとは、業界のトレンドや自社商品の魅力などの役立つ情報をまとめた資料を指します。

「ローンの資料請求はこちら」などとオウンドメディアを通じて提供される形が多く、ホットリードの連絡先を獲得できる点や、資料の質次第で自社の権威性を高められる点で優れています。

2.5. SNS

スマートフォンの浸透した現在では、XやInstagram、TikTokなどのSNSも軽視できない顧客接点です。

SNSには消費者と距離感の近いコミュニケーションを行えるメリットがあり、フォーマルな内容はオウンドメディアで、カジュアルなやり取りはSNSで、などと使い分けできます。

2.6. 動画

動画は文章や画像に比べて多くの情報を届けやすいのが特徴です。また、出演者の立ち振る舞いに気を配ることで、対面に近い信頼感も与えられます。

例えば自社のYouTubeチャンネルを開設し、金融商品の特色や申し込み方法の解説動画を公開すれば、維持費のかかりにくい広告として長期的に活躍してくれるでしょう。

2.7. SEO・MEO対策

SEO(検索エンジン最適化)・MEO(マップ検索エンジン最適化)対策とは、検索結果の上位表示を目指してオウンドメディアなどへの流入を増やす施策です。

コンテンツマーケティングの一種であり、「新NISAとは」「○○県 住宅ローン」など、自社と関係がある検索キーワードでの上位表示を狙います。

2.8. Web広告

Web広告はSEO・MEO対策と同じく流入者の増加を主目的としますが、成果を素早く得やすい点に特徴があります。例えばリスティング広告でキーワードを「新NISAとは」と指定して出稿すれば、SEO・MEOによる上位表示を待つ時間がかかりません。

ただし、Web広告の出稿には相応の広告費がかかります。SEO・MEO対策との使い分けが肝要です。

2.9. 自社アプリ

近年はスマートフォン一つで資産運用が可能なサービスが登場するなど、自社アプリに多様な機能を持たせるケースも増えています。

自社アプリならアプリ内メッセージやプッシュ通知を通じて顧客へ継続的なアプローチができ、CXの向上や信頼関係の強化にも活躍します。

2.10. セミナー(ウェビナー)・イベント

各種イベントやセミナーの実施も金融マーケティングの一例です。ウェビナーにより低コストで全国の顧客に訴求しつつ、ロイヤルカスタマーを限定リアルイベントに招待するなど、こちらも使い分けが重要となります。

3. 金融業界でマーケティング施策を実施する際のポイントや注意点

では、金融業界のマーケティングではどのようなポイントを押さえておくべきなのでしょうか。

a man is standing next to a stack of coins and a stack of money .

3.1. データを一元管理・活用するための環境整備

金融業界でのマーケティングにおいて、データを活用するための環境が整っていないといった課題があります。社内の各部門にデータが散在しており、部署間でのデータ連携ができていないケースも多く、データを最大限に活用するためには、まずは情報を集約するための環境整備が求められます。

部署間での壁をなくし、情報の一元管理・活用ができるように全社的なシステムを導入してデータの分析を進めることで、顧客のニーズも見出しやすくなります。顧客のニーズを把握することで、一人ひとりに合わせたサービスの提供が可能になるだけでなく、迅速な意思決定にもつながります。

3.2. IT人材の確保・教育体制の構築

金融業界ではDXが進んでおり、競合に打ち勝つマーケティングの実行にはIT人材の確保が重要となります。外部から雇用するべきか、社内に教育体制を整えるべきかを検討していきましょう。

金融業界のDXの詳細は以下で解説しています。

>>金融業界における「金融DX」を徹底解説!現状の課題や進めるためのポイントについて

3.3. ターゲットの明確化・分析

どのようなターゲットにどのような金融商品を届けるかは、マーケティング全体の成否を左右する初期ステップで検討すべき要素です。前述のデータを活かし、分析からインサイトを導きましょう。

3.4. 複数の顧客接点の構築

昨今の顧客接点の多様化は著しく、オンラインに限定しても、オウンドメディア、SNS、動画サイト、ウェビナー、ニュースサイト、自社アプリなど無数に存在します。選定したターゲットの属性も考慮しながら複数のチャネルを構築していく必要があります。

3.5. コンプライアンスの確保が重要

データ活用を進めるうえでは、コンプライアンスを重視する意識も大切です。個人情報保護法や金融商品取引法など各種法規制の順守に加え、道徳的に問題のある行動は避けるよう社内の意識を醸成していきましょう。

3.6. 効果の検証や改善など最適化していくことが大事

金融分野の商品は、顧客との長期的な信頼関係の構築が収益の鍵となるものも多々あります。効果検証や広告のA/Bテストの実践などにより施策の質を磨き上げ、最適化と実行を繰り返しましょう。

3.7. ツールの導入を検討する

ここまでご紹介した通り、金融業界のマーケティングの成功にはデータの活用が欠かせません。その実践においては、次にご紹介するITツールの導入が助けとなるはずです。

4. 金融業界のマーケティングを進める上で必要なツール

金融業界のマーケティングで活躍するツールは以下の5種類に大別できます。

4.1. CEPツール

カスタマーエンゲージメントプラットフォーム「Braze」は、顧客へのクロスチャネルなアプローチにより半年間のリテンション率を86%も向上させるなど、金融業界においても成果を残しています。

データの一元管理はもちろん、顧客に提供するコンテンツをAIサポートで作成できたり、プッシュ通知やメルマガの連携などチャネルの垣根を越えたコミュニケーションを実現できたりと、マーケターの作業を幅広く支援します。

>>金融業界(金融サービス業界)向けマーケティングツール「Braze」

4.2. MAツール

MA(マーケティングオートメーション)は、マーケティング活動の自動化を目指すツールです。住宅ローンの問い合わせをした顧客に対してまずは最新の金利動向レポートや商品の魅力を訴求するメルマガを自動配信するなど、ホットリードのシステマチックな育成に活躍します。

4.3. SFAツール

SFA(営業支援システム)は、顧客情報の一元管理はもちろん、営業プロセスの見える化や社員間でのナレッジ蓄積などに活躍するツールです。次のCRMと混同されることも多いですが、こちらは営業活動の支援を主目的としています。

4.4. CRMツール

CRM(顧客関係管理)は、顧客との継続的な関係を作り上げていくためのツールです。取引や顧客対応の履歴なども含む幅広いデータを一元管理します。レポート機能などが含まれるケースが主流です。

4.5. 解析ツール

そのほか、オウンドメディアの訪問者の詳細を理解できるアクセス解析や、広告効果の測定ができる解析ツールなども有効なツールの例です。導入に際しては、ほかのツールとの連携しやすさにも留意しましょう。

5. 金融業界でマーケティングが成功した事例

最後に、金融業界のマーケティング成功事例をご紹介します。

5.1. 事例1

ある大手証券会社では、オンラインによる国内株式売買手数料を無料にする施策により、開設口座数の拡大に成功しました。

この施策は2023年9月末に行われたもので、約定金額や取引形態(現物・信用)によらず売買手数料をゼロとする内容でした。そのインパクトから注目を集め、施策実行当時は約1,100万件であった口座数は2025年3月時点で約1,400万件にまで増加しました。

5.2. 事例2

ある大手銀行では、他社の経営者や従業員を想定読者としたビジネス向けのオウンドメディアを提供しています。

同メディアでは、資産運用に関する知見だけでなく、キャッシュレス決済の売り上げの仕訳方法や人事コンサルタントの有効活用術など、幅広いコンテンツを展開。検索流入を増加させると共に企業としての信頼性向上を実現しています。

5.3. 事例3

Brazeを通じて金融マーケティングに成功したのが、カナダの資金管理プラットフォーム「Wealthsimple」です。

300万人以上ものユーザーを抱える同社では、顧客にパーソナライズされたコンテンツの提供に難しさを感じていました。そこで、多様なチャネルから適切なアプローチをする手段としてBrazeを導入。「Wealthsimple口座に一定額を入金した方に携帯電話をプレゼント」というキャンペーンを、メールやアプリ内メッセージを通じてふさわしい顧客に提案しました。結果、対象ユーザーの20%が資産移動に踏み切るなど高水準のレスポンスを獲得しています。

>>Wealthsimpleが顧客エンゲージメント戦略で顧客獲得と長期的価値を促進

6. まとめ

消費者の価値観の多様化や他社との差別化、顧客体験の質の向上が求められており、金融業界でのマーケティングの重要性が高まっています。

オウンドメディアやSNS、動画、セミナー(ウェビナー)やイベントなど、さまざまな施策を駆使し、自社のサービスをより理解してもらうだけでなく、一人ひとりに合わせたサービスの提供ができるように考えていくことが大切です。

金融マーケティングの実践には、現場の環境整備や手法、注意点の理解と同時に適切なツールの利用が求められます。

Brazeでは、金融業界のトレンドをまとめたレポートを提供しています。消費者が金融企業に何を求めているのか、パーソナライズされたアプローチを実現するにはどうすれば良いのかなど、マーケティング施策の立案に役立つ内容です。ぜひ以下のリンクよりお気軽にご請求ください。

>>2022年金融サービス業界におけるグローバルインサイト調査レポート

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