公開 2025年5月17日/更新 2025年5月17日/10 分で確認
なんとなくイメージできそうで、意外と説明が難しい用語、カスタマーマーケティング。マーケターとして活躍を目指すなら、ぜひ正確に理解しておきたいものです。
この記事では、カスタマーマーケティングとは何か、重要性や手法、得られる効果、実践で役立つツールについて解説します。
カスタマーマーケティングとは、すでに自社の既存顧客である相手(Customer)へのマーケティングを表します。
一般的なマーケティングが新規顧客の拡大を目指すのに対し、カスタマーマーケティングでは既存顧客との関係の強化や維持を直接の目的とします。新商品の情報を届けたり、電話で困りごとを聞いたりと、その取り組みは多様です。
カスタマーマーケティングが注目される背景には、大きく3つの要因があります。
動画見放題サービスや音楽の聴き放題サービスなど、近年は月額・年額で料金を支払うサブスクリプション型のサービスが広がっています。
サブスクリプション型のサービスは、従来の売り切り型の収益モデルと異なり、顧客に長期間の購買(契約)を続けてもらうことが欠かせません。そのため、カスタマーマーケティングにより既存顧客との関係を維持する重要性が増しています。
1:5の法則などに代表されるように、マーケティングの世界では、既存顧客の維持は新規顧客の獲得よりもコストがかからないとされています。
カスタマーマーケティングでは、契約の継続による売り上げの安定化はもちろん、アップセル(上位モデルの提案)やクロスセル(関連商品の提案)による収益の拡大も可能です。費用対効果の良いマーケティング施策として注目されています。
カスタマーマーケティングは既存顧客との関係の強化・維持を目的とするものですが、副次的な効果として新規顧客の獲得にも効果があります。
これは、自社やブランドに愛着を持ってくれた方(顧客ロイヤルティの高いユーザー)がSNSに口コミを投稿してくれたり、紹介プログラムを広めてくれたりするためです。
カスタマーマーケティングに取り組むうえでは、カスタマーサクセス(CS:Customer Success)の視点が欠かせません。ここではカスタマーサクセスについて具体的に見ていきます。
カスタマーサクセスとは、自社製品を利用する顧客が製品に求める体験を得られるよう支援する取り組みです。商品を渡すだけではなく、使い方のチュートリアル動画を提供したり、個別に悩みを聞いて解決したりといった、顧客を成功(Success)へ導くアクションを指します。
カスタマーマーケティングでは、このカスタマーサクセスによって顧客の満足度やロイヤルティを高め、自社のファン化を進めていきます。
カスタマーサクセスの代表的な手法は、コストの観点から3つに大別できます。
ハイタッチとは、1対1のやり取りを基本に大口の顧客を支援する手法です。客先訪問による対面ミーティングやコンサルティングなど、コストの必要なアクションにより、丁寧に支援をしていきます。
ロータッチとは、複数の顧客に対して同じ対応を提供する手法です。ハイタッチとこの後に解説するテックタッチの中間のような存在で、以下のアクションが該当します。
ハイタッチほどの効果は見込めないものの、施策のコストが節約できることから、中規模の顧客に適しています。
3.2.3.テックタッチ
テックタッチとは、テクノロジー(Technology)の活用により低コストで多数の既存顧客を薄く広く支援する手法です。以下が代表的なアクションに挙げられます。
小口の顧客や、製品を使い慣れているなどフォローアップの必要の少ない顧客をサポートするのに適しています。
では、カスタマーマーケティングを導入すると、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか。
カスタマーマーケティングによる既存顧客との関係性の強化は、顧客ロイヤルティの向上に繋がります。
顧客ロイヤルティの向上は契約の継続や購買の促進を生み出し、LTV(ある顧客が自社との関係を終了するまでにどれだけの利益をもたらすかを表す指標)を高めてくれます。
LTVや顧客ロイヤリティの重要性は以下の記事で解説しています。
>>LTV(ライフタイムバリュー)とは?重要性や計算方法、高める方法・ポイントについても紹介
>>顧客ロイヤルティとは?顧客満足度との違いや向上させるメリットについて解説
通常、顧客ロイヤリティを高める過程では、顧客の声を参考にします。ユーザーからのフィードバックを製品開発に活かすことで、企業視点に偏らない製品やサービスの改善を進めていけます。
近年はさまざまな市場で類似製品が飽和状態にあり、新規顧客の奪い合いが熾烈を極めています。既存顧客との関係の維持・強化を目指すカスタマーマーケティングは新規顧客向けの施策に比べてコストが低い傾向にあり、膨らみ続ける広告費の削減に有効です。
既存顧客向けのマーケティングでありながら、結果的に新規顧客の獲得にも結びつきやすいのがカスタマーマーケティングの長所です。口コミ効果などによって自社ブランドの魅力的なファンコミュニティが誕生すれば、興味を抱いてくれる顧客が自然に増えていきます。
続いて、カスタマーマーケティングの施策の例を見ていきましょう。ご紹介する5つの施策はそれぞれ重複している箇所もあり、組み合わせでの実行も可能です。
オンボーディングとは、主に自社サービスを利用しはじめる段階でユーザーが離脱してしまうことがないよう、フォローアップをする施策のことです。
例えば、会員登録やアプリのインストールを済ませた相手に使い方解説を提供するなど、サービスの魅力を知らないまま離脱するユーザーの削減を狙います。
オンボーディングに関しては、以下の動画や関連記事もぜひご覧ください。
>>オンボーディングの最適化 | 顧客エンゲージメントプラットフォームBraze(ブレイズ)
コミュニティマーケティングとは、顧客同士が交流できる場を提供することで自社ブランドへのファン化を強める施策です。自社の会員だけが利用できるチャットグループや掲示板を用意したり、新製品に触れられる展示会を開催したりと、施策のオンライン・オフラインは問いません。
リテンションマーケティングは、顧客の注意や興味を持続させることでサービスの契約維持を狙う施策です。以下のようなアプローチ方法があります。
リテンションマーケティングについて詳しくは以下をご覧ください。
既存顧客に対して製品やサービスの利用を直接的に促進していく施策もカスタマーマーケティングの一種といえます。
顧客の声から製品・サービスの改善を進めていくことも、カスタマーマーケティングの施策の一つです。
このように、カスタマーマーケティングの施策は広く、既存顧客に対するアクション全般を指すともいえます。広範な施策を着実に進めるためには、ぜひBrazeの活用をご検討ください。
マーケター支援ツールの「Braze」なら、データを元にした顧客へのアプローチが実現できます。
例えば、オーストラリア最大のカフェ「The Coffee Club」では、Brazeの導入によってロイヤルティプログラム(購買金額や頻度が多い方向けの会員特典)を通じた売り上げを35%も増加させることに成功しました。これには、メールやアプリ内メッセージなどの連絡チャネルの選択、提示するコンテンツやクーポンの選定、という二つの意思決定をBrazeを通じてデータから判断したことが関係しています。
>>The Coffee Club、クロスチャネルアプローチでロイヤルティ会員の売上が35%増加、アプリ評価も向上
ほかにも、過去のデータから解約の可能性が疑われる顧客の条件を導き出し、半自動的にリテンションメッセージを送信することもできます。カスタマーマーケティングに関するご相談やBrazeへのお問い合わせは、以下のリンクよりお進みください。
カスタマーマーケティングとは、既存顧客との関係維持・強化を目指すマーケティングのことです。サブスクリプションサービスの広がりや新規顧客の獲得競争の激化により、今後より重要性が高まっていくと考えられます。
カスタマーマーケティングの導入・強化に向けては、Brazeのようなマーケター支援ツールの活用は欠かせません。この記事でご紹介した施策も参考にしながら、ぜひ導入をご検討ください。
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