公開 2025年9月03日/更新 2025年9月03日/11 分で確認
マーケティング分野で頻出する用語でありながら、ふんわりとしたイメージのまま使われやすい顧客エンゲージメント。正しく知識を身に付ければ、マーケターとしての飛躍に繋がります。
この記事では、顧客エンゲージメントの意味や関連用語との違い、重要性やメリット、高める方法と流れ、解決策となるツールをご紹介します。
顧客エンゲージメントとは、自社と顧客の関係性(信頼関係や親密さ、絆の強さ)を指す用語です。婚約や誓約を意味する英単語である「Engagement」からきており、「顧客エンゲージメントが優れている」といわれる場合は、自社と顧客の結び付きが強い状態を表します。
マーケティングにおける顧客エンゲージメントは、既存顧客との関係性の把握や強化を目指す際に用いられる概念です。信頼や親密さのような目に見えない感情を把握することで、自社サービスの改善や収益の安定化を実現できます。
顧客エンゲージメントには、顧客ロイヤルティ、顧客満足度という2つの関連用語があります。
顧客ロイヤルティとは、自社や製品、サービスに対して顧客が抱く愛情や信頼のことです。心理的ロイヤルティと行動的ロイヤルティの2種類に分かれます。
通常、単に顧客ロイヤルティとした場合は心理的ロイヤルティを指しますが、顧客エンゲージメントは行動的ロイヤルティに近い概念です。つまり、心を中心とするのが顧客ロイヤルティ、行動を中心とするのが顧客エンゲージメントと分けられます。
また、顧客エンゲージメントが自社と顧客の双方向の関係に注目するのに対して、顧客ロイヤルティはあくまで「顧客がどの程度忠誠(ロイヤルティ)を誓っているか」を測る用語だとする解釈もあります。
顧客ロイヤルティの詳細については以下の記事もあわせてご確認ください。
>>顧客ロイヤルティとは?顧客満足度との違いや向上させるメリットについて解説
顧客満足度(Customer Satisfaction)とは、特定のサービスや商品に対する満足度を示す指標です。
顧客エンゲージメントが主に自社と顧客の関係を指すのに対して、顧客満足度は個々のサービスや製品に対する満足度を測定している点で異なります。
そのため、ある製品の顧客満足度が高くとも、顧客エンゲージメントが高いとは限りません(例:「あの企業は好きではないけれど、コスメの質は良い」など)。
顧客エンゲージメントは、複雑化するビジネス環境の変化への対応策として重要視されています。ポイントとなるのは大きく2点です。
近年は、技術水準の向上やビジネスのグローバル化により、魅力的な商品や画期的な商品が市場に登場しても、すぐに後追いの商品が現れるようになりました。機能の質による競合との差別化の難易度は年々増しており、このような現象はコモディティ化と呼ばれています。
コモディティ化に対策するためには、純粋な商品の魅力以外に付加価値を足すことが有効です。顧客エンゲージメントを高め、「○○社の製品だから」を購買理由にできれば、それは競合が容易に真似をできない差別化となります。
SNSや動画サイトの隆盛もあり、誰もが情報を収集しやすくなりました。チラシや公式サイトのような企業が用意する場所以外から主体的に評判をチェックして製品を選べる時代です。
そのため、顧客エンゲージメントを高めれば世間に良い口コミを増やす効果が期待でき、新規顧客を引きつけやすくなります。また、自社との関係が深い既存顧客は競合他社の情報に触れても離反しづらく、長期に渡って固定ファンでいてくれやすいのが特徴です。
では、顧客エンゲージメントを高めるメリットを確認していきましょう。
顧客エンゲージメントの高いユーザーは自社への関心が高く、アンケートやモニターにも積極的に参加してくれる傾向にあります。受け取ったユーザーの声を分析すれば、顧客目線で製品やサービスの改善・開発を進められるでしょう。
改善・開発後には「自分の声が届いた」とユーザーに思わせることができ、顧客エンゲージメントがさらに向上する好循環を生み出せます。
顧客エンゲージメントの高いユーザーは、「コスメ関連はA社が安心」といった形で自社の固定ファンとなってくれます。リピート購入を期待できるのはもちろん、「同じA社でもう少し高い化粧水も買ってみよう」「掃除用品も試してみよう」といったように次の購買にも繋がりやすく、優良顧客の増加を見込めます。
自社から離反するユーザーを減らし、収益を安定させやすくなるのも、顧客エンゲージメントを高めるメリットです。
自社に対する強い信頼は、競合他社の製品を試そうとする気持ちを生みづらくする効果があります。結果として月ごとの売上を安定的に確保しやすくなり、販路拡大や新商品開発などのさらなる投資へ挑戦できる環境も整いやすくなります。
顧客エンゲージメントは既存顧客との関係を見つめる概念ですが、新規顧客の獲得にも有効です。
自社のファンとなった顧客は、口コミやレビューを通じて良い感想を広げてくれます。良い感想を見た方が製品を試し、使用後に良い感想を広げてくれて、それを見た方がまた……と連鎖するようにユーザーを確保していけます。
続いて、顧客エンゲージメントを高めるための流れを見ていきます。
最初のステップは、現状の洗い出しと大まかな目標設定です。まずは以下に代表される指標を用いて現在の顧客エンゲージメントを確認しましょう。
確認後は、現状を受けた具体的な数値目標を立てます。「1年後までに解約率を20%下げる」「半年後までにリピート率を30%向上させる」など、期限も明確にしておくことをおすすめします。
カスタマージャーニーマップとは、顧客が製品を認知してから購入に至るまでのプロセスを旅になぞらえて可視化したものです。顧客の動きを客観視できるのが特徴で、例えば「通販注文から届くまでが遅すぎる」といった問題を把握できます。
カスタマージャーニーマップの作り方や注意点は以下の記事で詳しく解説しています。
>>カスタマージャーニーとは?作成するメリットやマップの作り方・注意点を紹介
>>カスタマージャーニー作成におけるペルソナ設定の方法やポイント・注意点とは
カスタマージャーニーマップで改善点を導き出したあとは、KPIを設定しつつ具体的な施策を実行しましょう。
注文から手元に届くまでのスピードに問題がある例であれば、以下のようなKPIと施策が考えられます。
注文から到着までの日数を現在の1週間前後から3日以内に改善。期間は1年
注文情報をリアルタイムに倉庫に伝達できるシステムの導入。通販決済とロッカー受け取りを連動させる新たな販売形式の検討 など
施策の実行後は、定期的な評価と見直しも欠かせません。顧客エンゲージメントを高水準で維持するためには、ユーザーの期待に応え続ける必要があります。
半年に一度、3ヵ月に一度などのスパンでKPIを確認し、カスタマージャーニーマップの再作成の必要性を検討するなど、施策が時代遅れとならないための工夫が必要です。
顧客エンゲージメントを高めるためにツールの導入を検討する際は、顧客エンゲージメントプラットフォーム「Braze」の活用もご検討ください。
Brazeには、顧客エンゲージメントを高めてマーケティングを円滑に進めるための多様な機能が搭載されています。以下は一例です。
以下のページでは、2025年時点で最新のカスタマーエンゲージメントの知見と、エンゲージメントを実際に収益へと変えていくためのレポートも提供しています。無料でダウンロードできますのでぜひご一読ください。
>>2025 グローバル カスタマー エンゲージメント レビュー
>>マネタイズの実践例 - エンゲージメントを売上と利益に変える方法
顧客エンゲージメントとは顧客と自社の関係の強さに関する用語です。顧客エンゲージメントを高めると、リピーターの増加、新規顧客の獲得、収益の安定化など、さまざまなメリットが得られます。
自社の顧客エンゲージメントを高めていく過程に難しさを感じた場合には、Brazeにお気軽にご相談ください。
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