公開 2023年11月26日/更新 2023年11月27日/10 分で確認
多様化する顧客の購買行動を把握し、優れた顧客体験を提供するために役立つ「カスタマージャーニー」。質の高いカスタマージャーニーを作成するうえで欠かせないのが、ペルソナ設定です。
この記事では、カスタマージャーニーの作成におけるペルソナ設定の意味、作成の方法やポイント、注意点をご紹介します。
カスタマージャーニーとは、顧客が自社製品やサービスと出会い購入に至るまでのプロセスを旅になぞらえて可視化する考え方です。最近では、製品の利用後の行動(例:SNSへのシェア、リピート購入の検討)までを含むケースもあります。
カスタマージャーニーの特徴は、時系列に沿った顧客の感情の変化まで明らかにできることです。例えば、誕生日プレゼントの通販購入では「当日までに届くだろうか」と不安が生じやすいと分析し、注文完了メールに配送予定日を明記するなどすることで自社の顧客体験を改善できます。
また、多様化する顧客接点を把握し顧客の感情に寄り添うアプローチを取りやすくなる性質から、カスタマージャーニーはマーケティングの質を高めるためにも有効とされています。
そのメリットや必要性は以下の記事でも解説しております。
>>顧客理解を深めるための「カスタマージャーニー」とは?作り方や注意点について紹介
ペルソナとは、自社製品やサービスにおける基本的な顧客像のことです。年齢、性別、家族構成などの属性はもちろん、職業、年収、よく使う情報収集の手段、現在の課題や悩み、価値観、趣味などまでを定めた人物像を指します。年齢や性別などを大まかに定める「ターゲット」をより深掘りしたものです。
ペルソナを設定する目的は、曖昧になりがちな顧客像を確固たるものにすることです。ペルソナを設定することで、社員同士で顧客のイメージを深く共有しやすくなり、パーソナライズされたマーケティング施策や顧客体験の向上策の立案につながります。
実務におけるカスタマージャーニーの作成過程では、まず前提となるペルソナを設定し、それに応じた購買プロセスを検討します。正確なペルソナの設定は、クオリティの高いカスタマージャーニーの作成に向けた第一歩となります。
では、適切なペルソナを設定するための方法を見ていきましょう。
最初の作業は、ペルソナ構築に必要な項目の洗い出しです。顧客像を深掘りするペルソナの設定では、以下のような多数の項目を用意します。
【ペルソナ設定に必要な項目例】
ただし、必要な項目は自社製品の内容によっても変わります。例えば、B2Bビジネスにおけるペルソナ設定では、職業、仕事内容、役職などが重要となる一方、本人の家族構成や趣味はそれほど意味を持ちません。
続いては、設定した項目を埋めていくための情報収集を行います。ペルソナ構築に向けた情報収集の方法には以下のような手段が考えられます。
このような客観的な情報の収集は、後述する「自社にとって都合の良すぎるペルソナ」を設定する過ちを避けるために重要です。
情報の収集後は、集めたデータを利用できる形に整理します。例えば、既存顧客に対面インタビューを行ったのであれば、文字起こしをしたうえでテキストマイニングを実施し、全体の傾向を明らかにしていきましょう。
必要に応じ、すでにある顧客データをペルソナの設定に活用できないかと検討してみることも重要です。例として、プッシュ通知の開封率が著しくよい時間帯があるのなら、自社の顧客の多くはその時間帯にスマートフォンを触っている=情報収集を行っていると予想できます。
情報を利用できる形に整理したあとは、いよいよペルソナを明確にしていきます。前述の項目例でいえば、以下のような設定が考えられます。
【ペルソナ設定に必要な項目例(具体例)】
大切なのは、取得したデータを尊重したペルソナ設定です。「既存顧客のデータでは年収300万円~400万円ほどが多数派であるのに、高級路線に憧れてペルソナの年収は1,000万円前後に設定する」など、現実との乖離が大きくなると机上の空論に終わるリスクがあります。
ペルソナは定期的に見直しをすることも忘れないようにしましょう。
ビジネスでは、製品やサービスが自社の想定外の売れ方をしていることもよくあります。また、当初は正しかったペルソナが、環境の変化によりいつしか時代遅れになることも珍しくありません。顧客と自社の感覚のずれを避けるためにも、ペルソナは最新のデータを参考に更新していきましょう。
ここでは、ペルソナを設定する際に知っておきたい注意点をご紹介します。
特に大切となるのは、ペルソナを理想像にしすぎないこと、すなわち自社にとって都合の良すぎるペルソナを生み出さないことです。
多くの場合、ペルソナはマーケティング施策の改善や顧客体験の向上を目指して設定されます。その目的を達成するためには、既存顧客のデータから現実的なペルソナを導き出し、実態に即したカスタマージャーニーを作成しなければいけません。
理想像に偏らないペルソナを作成するためには、複数人での検証を行う体制が重要です。
担当者が一人でペルソナを完成させようとすると、どうしても主観が混ざりやすくなります。複数人が意見を出し合いながらペルソナを煮詰めていくことで、客観的かつ妥当性のある内容に仕上がります。
自社製品やサービスの購買層が広い場合、複数のペルソナを設定すべきケースもあります。その際は、ペルソナの数が増えすぎないように意識しましょう。
カスタマージャーニーは、ペルソナの数だけ作成する形が基本です。あまり数を増やすと、一つひとつの分析にかけられる時間が短くなり、施策の方向性も曖昧になってしまいます。まずは多くとも3~4人程度のペルソナに絞ってみましょう。
ペルソナを設定できたあとは、同数のカスタマージャーニーマップ(カスタマージャーニーを図にまとめたもの)を作成します。カスタマージャーニーマップは以下の流れで作成できます。
STEP1:ペルソナとフレームワーク(例:AISAS、SIPS)の設定
STEP2:顧客行動・タッチポイントの可視化
STEP3:顧客の思考・感情の設定
STEP4:課題の分析・KPIの作成
最初にペルソナとともにフレームワークを定め、カスタマージャーニーマップの大まかなフェーズ(行動ステージ)を決定します。その後、各フェーズの顧客行動とタッチポイントを検討しつつ、その時々の顧客の思考と感情を想定します。最後に、全体を眺めつつ課題を発見し、解決に役立つKPIの選定を進めます。
詳細は以下の記事もあわせてご確認ください。
>>顧客理解を深めるための「カスタマージャーニー」とは?作り方や注意点について紹介
リアルタイムで顧客を理解し、コンテキストに基づく嗜好や行動、クロスチャネルでのインタラクションに基づいて、カスタマージャーニーを作成するなら、Brazeの活用をご検討ください。
マーケターのアイデアを具現化するBrazeでは、カスタマージャーニーをノーコードで簡単に作成できる「BRAZE キャンバスフロー」を提供しています。
この機能では、ドラッグ&ドロップなどの直感的な操作でオムニチャネルを前提としたシナリオを設計できます。最大の効果が見込めるチャネル・タイミングでのメッセージ送信といった、ひとりひとりのカスタマージャーニーに合わせたアプローチが可能です。詳細は以下のリンクよりお進みください。
この記事では、カスタマージャーニーに必要なペルソナの設定について、その役割や設定方法、ポイントや注意点などをご紹介しました。
優れた顧客体験の提供が競合との差別化において重要となるいま、質の高いカスタマージャーニーの必要性が再注目されています。ぜひその前提となる正確なペルソナの作成から取り組みを進めていきましょう。
Brazeの最新情報を定期的にお届け