公開 2025年10月15日/更新 2025年10月15日/11 分で確認
Brazeでは、顧客とのエンゲージメントに革新をもたらす人々に独自でインタビューを行い、彼らの挑戦と成果を紹介する「人とブランドをつなげる 顧客体験の創り手たち」をお届けしています。現場での知見や工夫、Brazeの活用方法など、実践的でリアルなストーリーを通じて、マーケティングの未来を考えるヒントを共有していきます。今回は、株式会社heart relation デジタル企画グループ マネージャー立松佳菜子さんにお話を伺いました。
本人も想定外だった、営業からエンジニアへの転身
立松 そもそも、大学は文系の学部でしたし、就活も商社とIT業界の両軸で進めていました。IT業界を選んだのは、将来、どこでも通用する経験を積めると思ったからです。最終的に、企業向けIT研修サービスを提供する会社に営業職で採用されました。営業でやっていくつもりでしたが、意外な才能に気づいたのが、新入社員みんなが受けるエンジニア研修でした。コーディングが他の人より手際良くできて、人事の方が「エンジニアのほうが向いているかもね」と。そしてエンジニアとして配属された、という流れです。もともと思考は論理的なほうでしたし、頭のつくりが向いていたのかもしれません。
立松 開発にがっつり関わり、コーディングをWebサービスで学べるツール開発などを担当していました。システム設計にふれた経験はキャリア形成にとても役立っています。
立松 ビジネスSNSに登録していたら声をかけていただき、キャリアの可能性を広げるチャンスだと思っての転職です。小売企業向けにCRMシステムを開発する発足したばかりの部署に、PMとして配属されました。ここでは気力も体力も含めて、いろんな意味で鍛えられたと思います。お客様の事業を成長させるため伴走するには深い事業理解が必要です。また、お客様の戦略の先を行く視点を持たなくてはいけません。3手先では間に合わず、10手先まで読んで仕事をするように考えていました。遅くまで働いた次の日、早朝にアポイントが入ることもよくあり、けっこうハードな日々でした。
商品だけでなく、背景にあるストーリーを届ける
立松 BtoBビジネスを進めていく過程で事業会社に興味を持つようになった、というのが1つ。また、学生時代からheart relationの「Her lip to」というブランドが好きで、よくアイテムを購入していました。そしてCCOである小嶋さんの経営者としての考え方、女性としての生き方にも共感してファンになっていました。ただ、当時は「転職したい」と思って転職活動していたわけではありません。ある日、ほんとに偶然、heart relationの募集を目にして、しかも自分のキャリアにぴったりのポジションがオープンになっていたので、迷わず応募したのがきっかけです。募集を偶然見ていなかったら、今もサイバーエージェントでキャリアを重ねていたと思います。
立松 メインはアプリ、ECサイト・ネイティブアプリの開発と改修です。入社した際にCRMを統括するポジションの人がいなかったので、今はそこも私の担当になっています。ステータス別に特典を用意するロイヤリティプログラムがあり、登録していただいたお客様とコミュニケーションを取りながら、いかに顧客満足度を高めるかにも取り組んでいます。
立松 ありがたいことに、heart relationの商品は発売日に完売してしまうケースもよくあります。なので、新商品のアピール、購買意欲を高めるアプローチだけだと、購入できずにがっかり体験となってしまうこともあります。他のアパレルブランドとは別の難しさがあるというか……。
立松 そうとも言えますね。気をつけているのは、商品をバンッと前面に出すだけではなく、どんなコンセプト、思いでつくられたのか。背景にあるストーリーをブログなどのコンテンツで提供するようにしています。瞬間的な購買行動ではなく、私たちの思いを知ってもらい、共感してもらうことを重視しています。そして、より長く愛してもらえるブランドになれるよう、いろんな施策に取り組んでいます。お客様同士のコミュニティが活発なのも特徴です。アプリもECサイトも、SNSでシェアされやすいか。スクリーンショットがSNSへの投稿でどういう見え方をするかなども考え、つくり込んでいます。
プロダクトの視点から、顧客体験づくりに携わる
立松 基本的な考えは同じですが、ROSIER by Her lip toというランジェリーのブランドでは、優先度が低くなりがちな、ランジェリーの買い替えのタイミングをお知らせしたりします。フレグランス、スキンケアなどの商品を展開するHer lip to BEAUTYでも買い替え訴求を行いますし、イベントやキャンペーンも仕かけています。今はHer lip toからのお客様がメインですが、今後はROSIER、Her lip to BEAUTYからアパレルへという流れもつくりたいと思っています。heart relationの3ブランドで暮らしを彩ってもらえるようしたいですね。
立松 日本でPMというとPjM(プロジェクト・マネージャー)を指すケースがほとんどです。前職での私の立ち位置PjMで、UXはこうしたほうがいいとか、店舗とこう連携したいと思っても、制約があってなかなか踏み込めません。プロダクトのリリース後、どこかモヤモヤしたものがあり、これってお客様(エンドユーザー)も同じではないかと感じていました。そんなとき出会ったのがPdM(プロダクト・マネージャー)の存在です。プロジェクトを計画通りに進めるのは重要ですが、プロダクトでどんな新しい体験や感動を提供できるかを考えたい。お客様により良い顧客体験をしていただき、ロイヤリティを高める橋渡し的なPdMとしてキャリアを形成したい。そう考えるようになりました。
――PdMとして、どんな価値を提供していきたいと考えているのでしょうか。
立松 究極的には、私が手がけたプロダクトでお客様の生活がポジティブに変わるのが理想です。少し引いた目線だと、プロダクトにフォーカスしたプロジェクトや事業進行を根付かせることに、微力ながら貢献できればと思っています。
無駄を省き、効率的かつ創造的な仕事のために欠かせない
立松 前職でお客様のシステムにBrazeを導入するのがBrazeさんとの出会いでした。heart relationに入社してすぐ「Brazeを導入すべき」だと社内で直訴しました。当時はネイティブアプリやロイヤリティプログラムの構築に集中していたため、CRMに向き合う体制が整っていない状態でした。そのためメールやLINEなどの施策も集約できずに別々に行っており、何が効果的なのか誰も把握していない状態でした。これでは非効率的だし、振り返りもできないし、施策の精度も上げられない状態を課題と感じたため「コミュニケーションツールを一元化でき、ABテストも、効果測定も、CRMでやりたいことが全部できるからBrazeを入れましょう」。と会社にお願いし、導入が決まったのが2024年の10月。翌月からオンボーディングが始まり、2025年4月から本格的に稼働が始まった、という経緯です。
立松 スクラッチ開発する場合とSaaSのサービスを利用する場合。総合的に判断すると、弊社の場合は後者のほうが効率的だと思います。ランニングコストがかかっても、機能は最新かつ使いやすく考えられています。また、いろんな企業の声がフィードバックされているから、実践的につくり込まれています。そうしたツールを使ったほうが、無駄なことにコストをかけず、人は本来の業務、クリエイティブな業務に集中できるのではないでしょうか。
立松 まだ本格稼働してから日が浅いのですが、Brazeをからめた施策、そうでない施策との比較では、からめた施策のほうが売上の数値は上がっています。今後いろんな施策に活用していけば、増収増益のエンジンの1つになってくれるはずです。機能については、やはりキャンバスですね。お客様の行動に合わせたシナリオ設計は、顧客体験を高めるコミュニケーションに欠かせません。Brazeのデータを使ったレポート作成が簡単にできるクエリビルダーも、個人的にはよく使っています。あと、ECサイト連携の機能があれば弊社としてはめちゃくちゃうれしいです。
PdMとして、社会にポジティブなインパクトを与えたい
立松 短期目線だと、アプリとECサイトの開発はもちろんですが、ロイヤリティプログラムの強化に集中して取り組みたいですね。こうしたプログラムの場合、下位層から中間層への引き上げが最も大事と言われます。もちろんそこには注力していきます。同時に、高位層のお客様にも生活の一部になるワクワクを絶えずお届けして、プログラム全体の魅力を高めていきたいと思っています。中長期目線だと、前述した内容と少しかぶりますが、PdMとして、誰かの生活の一部になると同時に、社会に大きなインパクトを与えるプロダクトに携わっていきたいですね。Brazeと一緒に、道を切り拓いていきたいと思います。
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