公開 2025年5月17日/更新 2025年5月17日/10 分で確認
「今後の顧客層拡大に手詰まりを感じている」「競合他社がいない新天地を求めたい」……そのようなときには、越境ECが解決策となるかもしれません。
この記事では、越境ECの意味や市場規模の現状、メリットやデメリット、はじめる方法や流れ、注意点、成功のポイントなどをご紹介します。
越境ECとは、日本国内ではなく海外に対して、国境を越えて電子商取引(Electronic Commerce)を行うことです。ECサイトを通じて外国の消費者に自社製品を輸出するなどといった国際的な取引を指します。
経済産業省の調査によれば、令和5年度にBtoC越境EC市場で日本の製品が購入された額は、米国からが約1兆4,798億円(前年比13.3%増)、中国からが約2兆4,301億円(前年比7.7%増)とされています。
(参考:経済産業省「令和5年度電子商取引に関する市場調査報告書」)
ビジネスのグローバル化やインターネット通信販売の浸透により、近年では外国の消費者が日本の製品を購入することが当たり前になりつつあります。今後も越境ECの市場規模は拡大していくと予想されています。
越境ECへの取り組みでは、大きく3つのメリットが得られます。
越境ECでは、国境を越えた相手に製品を届けられます。国内のみでは不可能な規模で商圏を拡大可能です。国内市場の飽和が指摘されるなか、海外の新規顧客を開拓していくことには、莫大なビジネスチャンスが秘められています。
海外に販路を求めるなら、当該地域への実店舗出店という方法もあります。しかし、実店舗を構えるとなれば、現地の従業員を雇用するなど、決して小さくない負担が発生します。取引の大部分をインターネット上で完結できる越境ECであれば、海外挑戦のハードルが大きく下がります。
一般的に日本製品は海外からの評判がよく、高い信頼を誇っています。手元の在庫を出品するだけで、自社製品に「日本製」という新たな価値を付加できるのも越境ECの魅力です。
一方、越境ECには、海外との取引ならではのデメリットもあります。
製品を日本から海外に輸出する越境ECでは、国内市場と比べて遠くになればなるほど費用がかかるため、配送コストがかさみます。そのコストをどこまで販売価格に転嫁していくのかが常に悩みどころとなります。
海外の消費者と取引する場合でも、当該国の各種規制や法律は順守しなければなりません。また、規制や法律に触れていなくても、その土地の文化や宗教観を軽視してしまえば、思わぬ風評被害を招くこともあります。
越境ECのスタート方法は4種類に大別できます。
一つ目の方法は、現地のECモールに直接出品することです。日本のECモールで海外の業者が出品しているのと同じように、海外ECモールを経由して販売を進められます。
2つ目の方法は、多くの国や通貨に対応した海外対応のECモールに出品することです。例えば、全世界190ヵ国以上に対応している世界最大級のマーケットプレイスをうたうECモールなどで出品をすれば、自慢の製品を想像もつかないほど幅広い顧客層にアピールできます。
3つ目の方法は、自社で越境ECサイトを作成することです。サイトの構築と運用を行うだけの知見は必須ですが、出店先のモールの規約に左右されず、手数料も必要ないなどのメリットがあります。
4つ目の方法は、国内向け自社ECサイトで販売している製品を海外転送サービスに委託することです。
通常、海外転送サービスでは、注文のあとに自社製品を海外の購入者に届けるまでの過程を委託できます。手数料や集客の問題はありますが、気軽に挑戦しやすい方法です。
越境ECをはじめる際の一般的な流れは以下の通りです。
最後に、越境ECをはじめる際の注意点と成功へのポイントをご紹介します。
越境ECには、商材による向き不向きがあります。以下は越境ECの挑戦可否を慎重に検討すべき商品の一例です。
一方、実物の配送の負担がないデジタルコンテンツなどは積極的に越境ECを目指したい品目といえるでしょう。
越境ECでは各国の通貨による決済が行われる仕組み上、売り上げは円高や円安のような為替変動の影響を大きく受けます。想定外の損失を防ぐためにも、頻繁な為替レートの把握と商品価格の変更が必要です。
越境ECでは、外国の方が不安や手間なく購入できるよう、多様な言語や決済方法への対応が求められます。国際的な決済手段を導入したり、訪問者のIPアドレスに応じて自動で当該地域の言語が表示されるようにしたりするなどして、サービスを磨き上げていきましょう。
商品が素早く手元に届いて欲しいという気持ちは万国共通です。顧客に無用な心配をかけてしまわないよう、越境ECでは配送体制の整備をしておく必要があります。特に以下の3点は重要です。
越境ECの成功に向けては、当該国の市場調査やペルソナの設定、顧客のリピーター化に向けたデータ分析など、多様なマーケティング作業が重要となります。ここでは、Brazeをマーケティングに利用して成果を挙げた越境ECサポート「tenso」の例をご紹介します。
世界120以上の国と地域に550万人以上の会員を抱えているtensoでは、休眠顧客の多さや顧客維持率の低さが課題となっていました。そこでBrazeを導入し、メール、アプリ内メッセージ、コンテンツカードの3種類のコンテンツを顧客の属性に合わせて提供しました。一人ひとりにパーソナライズされたアプローチを実現した結果、キャンペーンのROAS(広告費用対効果)を180%にまで上昇させることに成功しています。
>>越境ECサポートのtenso、海外顧客向けにパーソナライズされた施策でROAS180%増、LTV4.2%増を実現
上記の事例でご紹介したとおり、越境ECに欠かせない国際的なマーケティングを成功させるためには、ツールの活用が有効です。Brazeのようにデータ分析と顧客へのアプローチを支援するITツールがあれば、越境EC挑戦に必要な多様な作業の一部を効率化できます。
BrazeのEコマースにまつわるマーケティング成功事例は以下のページでご確認ください。
>>リテール&Eコマース | ソリューション(業界別) | 顧客エンゲージメントプラットフォームBraze(ブレイズ)
また、以下のページでは最新のEコマースにまつわる知見も提供しています。
>>2024年 小売およびEコマースのマーケティングトレンド | 顧客エンゲージメントプラットフォームBraze(ブレイズ)
越境ECとは、国境を越え海外に住む消費者に対する電子商取引であり、まだ見ぬ新規顧客層を開拓できるかもしれない大きなビジネスチャンスを秘めています。
しかし、実践にあたってはデメリットや注意事項を理解しておかなければなりません。また、国内ECと同様、市場分析や顧客分析などの丁寧なマーケティングを行う必要もあります。
越境ECマーケティングの具体的な手段として、ぜひBrazeの活用もご検討ください。