真の価値を引き出す:AI意思決定で顧客エンゲージメントを進化させる

公開 2025年11月12日/更新 2025年11月12日/6 分で確認

真の価値を引き出す:AI意思決定で顧客エンゲージメントを進化させる
作成者
Victor Kostyuk
Head of Engineering, AI Decisioning and RL, Braze

AI意思決定を活用することで、ブランドは従来のセグメンテーションやビジネスルールに基づいたライフサイクルマーケティングを超え、スケールしながら1対1のパーソナライゼーションを実現し、あらゆるビジネスKPIを最適化できます。そして、このAI機能の価値をさらに引き出す重要な方法があります。それは、AI意思決定をデータウェアハウスやCDPに統合するだけでなく、顧客エンゲージメントプラットフォーム(CEP)に直接統合することです。

AI意思決定はどこに組み込むべきか?データレイヤー vs アクションレイヤー

一部のブランドは、AI意思決定層とデータ層(データウェアハウスやCDP)の統合に注力しています。しかし、AI意思決定企業 OfferFit の共同創業者(後にBrazeにより買収)、およびBCGのリードデータサイエンティストとしての実務経験から言えるのは、顧客エンゲージメントプラットフォーム(CEP)との密な統合こそが、AI意思決定の精度を高める上で最も重要だということです。これによりデータ品質が向上し、リアルタイムチャネルの制御が可能となり、よくある「サイレントエラー(気づかれにくい誤動作)」の発生を防ぐことができます。

顧客エンゲージメントツールとAI意思決定が連携すると、何が可能になるのか

報酬データの精度が高まる

AI意思決定は、「強化学習」と呼ばれるAI手法に基づいています。強化学習エージェントは環境から学習し、行動を選択して報酬を受け取り、その結果をもとに次の行動を改善していきます。報酬を最大化するように方針(ポリシー)を更新しながら、長期的な最適行動を学習します。

マーケティングの文脈では、「行動」とはチャネルの選択、メッセージ内容、配信タイミングなどを指します。「報酬」はマーケターが目指す成果に対応し、たとえば更新キャンペーンの場合は、新規契約によるユーザーあたりの増分収益などが該当します。

AIエージェントは、顧客がどのメッセージを開封したか、クリックしたか、購入したかといった行動データから学びます。そして、特定の顧客タイプに効果的だった施策を特定し、似た顧客には「うまくいく施策」をより多く、そうでない施策は減らすよう進化していくのです。

Diagram illustrating an Agent taking an Action on an Environment, which provides a Reward back to the Agent.

強化学習エージェントは非常に強力な仕組みですが、その学習精度は「報酬シグナル(reward signal)」に対して非常に敏感です。科学者が実験をするときと同様に、エージェントも「どの行動が効果的だったのか」を正確に知る必要があります。顧客イベントデータにエラーがあったり、データが欠損していたりすると、エージェントが誤った学習をしてしまい、パフォーマンスが大幅に低下するリスクがあります。

つまり、AIエージェントの判断の質はデータの質次第です。いわゆる「Garbage in, garbage out(ゴミを入れればゴミが出る)」という原則です。AI意思決定エージェントが開封データ、ランディングページでの行動、クリック、コンバージョンなどの顧客イベントに直接アクセスできる場合、多くの主要要因を排除できます。逆に、顧客エンゲージメントプラットフォームと直接統合されていないと、ETLパイプライン(データ抽出・変換・ロード)の不具合やデータエラーが頻発するリスクが常に存在します。

リアルタイムでのアクティベーションが可能に

AI意思決定システムがエンゲージメントプラットフォームと統合されていれば、エージェントの意思決定(たとえば:「テンプレート137を使用し、割引コード21を適用して、午後3時40分にメールを送信」)をリアルタイムかつ正確に実行できます。一方で、AI意思決定エージェントと実際に配信を行うプラットフォームが緊密に統合されていない場合、遅延(レイテンシー)が発生したり、意図した配信がサイレントエラーとして失敗する可能性があります。

アクティベーションの可視性が向上

AI意思決定システムが実際の顧客エンゲージメントプラットフォームと直接統合されていない場合、下流の制御ロジック(ガードレール)によって推奨アクションが実行されずにブロックされることがあります。しかも、そのエラーがAI側には即座に見えないケースも少なくありません。AI意思決定システムがプラットフォームのアクティベーションログに十分アクセスできないと、配信されなかったにもかかわらず「成果が出なかった」と誤って学習してしまう恐れがあります。このような誤学習が重なると、AIの判断が混乱し、パフォーマンスが低下します。

AI意思決定層と顧客エンゲージメントプラットフォームを連携させることで、こうしたノイズやデータエラーを最小限に抑えることができます。これは、BrazeAI Decisioning Studio™ のような高度なAI意思決定システムが設計どおりに機能するために極めて重要です。

事例紹介:LATAM Airlines

LATAM Airlinesは、フライト検索はしたが、予約完了しなかった見込み顧客に対して、最適なフォローアップを自動で選定する仕組みを構築するためにBrazeを導入しました。目標は、メールプログラムでのコンバージョン率を高めること。BrazeAI Decisioning Studioを活用した結果、コンバージョン率が45%向上し、約1,000万ドルの追加予約を獲得しました。

AI を活用した企業向けソリューションの詳細はBrazeAI Decisioning Studio™ 製品ページをご覧ください。

※実装サービスとサポートは英語でのみのご提供となります。

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