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ShareTheMeal、ターゲティングされたアプリ内動画で寄付者と支援先をつなぎ、資金調達を強化

ShareTheMealは、寄付者との信頼関係を築き、定期的な寄付を促す方法を必要としていました。多くの人が季節ごとに寄付を行っていましたが、その資金がどのように活用されているのかを明確に理解していないことが多く、それが次の寄付につながらない要因となっていました。飢餓との闘いを前進させるため、ShareTheMealは継続寄付を促す、より魅力的な方法を見つける必要がありました。
ShareTheMealはクロスチャネル戦略を活用し、寄付者と支援先コミュニティをつなぐ動画コンテンツを追加しました。同団体が「インパクトループ (Impact Loop)」と呼ぶ取り組みにより、寄付者は現地からのパーソナライズされた最新情報を受け取ります。そこには、World Food Programme(WFP)のスタッフによる画像や動画が含まれています。これが「フィールドヒーロー(Field Hero)」というストーリーの始まりとなりました。
この戦略により、寄付者は支援する活動への関心やつながりを維持できるようになり、セッション数や連続寄付数といった主要指標が、グローバルのコントロールグループと比較して大幅に向上しました。
指標による成果
114%
1カ月後のリテンション向上率
53%
セッション数の向上率
ShareTheMealは、世界最大の地道な人道支援組織である国際連合世界食糧計画(WFP)の一環として、困難な状況にある人々への寄付を募るモバイルアプリです。飢餓ゼロを使命とし、常時10〜15のローテーションの募金キャンペーンを通じて寄付を募っています。寄付者は、支援したい国や目的(緊急支援やレジリエンス強化プロジェクトなど)を選ぶことができます。各キャンペーンはより多くの寄付者に届くよう、アプリやウェブサイト上で14言語に翻訳されています。支援対象国には、ウクライナ、イエメン、アフガニスタン、パレスチナ、ハイチ、スーダン、コロンビア、バングラデシュ、エジプト、ルワンダ、ペルー、ザンビア、フィリピン、レバノンなどが含まれます。WFPのスタッフおよびグローバルパートナーが、支援を必要とするコミュニティに重要な援助を提供しています。
資金調達には、独自の寄付者エンゲージメント戦略が必要です。寄付者にとっての「報酬」とは、他者を助けることで得られる幸福感ですが、寄付そのものは単発または不定期になりやすく、特定の目的や季節に左右されがちです。チームの分析により、寄付者が必ずしも再寄付するわけではなく、一部の寄付者は自分の資金がどのように使われるかをもっと詳しく知りたいと考えていることが分かりました。ここにShareTheMealはチャンスを見出しました。「もし、寄付に明確な目的があり、寄付の直後にその成果を実感できたらどうだろうか?」と考えたのです。ShareTheMealの新しいエンゲージメント戦略は、寄付者をミッションにより身近な存在である「フィールドヒーロー(現場の英雄)」と定義し、活動への親近感を高めることに軸を置きました。
寄付者を現場へと誘い、リテンションとエンゲージメントを醸成
ShareTheMealのチームは、アプリ内でのエンゲージメントとリテンションを高め、大規模な成長を実現したいと考えていました。彼らが求めていたのは、単に即時の寄付を促すだけでなく、寄付者が自ら選んだ支援先に対して継続的な関心を持ち続けられるような革新的な戦略でした。チームは一連のアイデア出しワークショップを開催し、一つの仮説を立てました。それは、「人は支援先に対して『自分が投資している』という実感を持てれば、アプリに再訪し、再び寄付をする可能性が高まる」というものです。さらに、寄付活動を自分自身のアイデンティティと結びつけることができれば、それが寄付に対する「報酬」として機能すると考えました。こうして、大きな使命の一員であると感じることで生まれる深い感情的なつながりを活用した「フィールドヒーロー」というコンセプトが誕生したのです。
ShareTheMealの「フィールドヒーロー」キャンペーンでは、寄付者を現地のWFP職員と並ぶ存在として位置づけ、現地のリアルなストーリーやメッセージを共有することで、自分の寄付が実際にどのように役立っているかを可視化しました。これにより、寄付者は単なる資金提供者としてではなく、より主体的なミッションの担い手として自分を捉えられるようになりました。このキャンペーンはサポーターの間に連帯感と共通の目的意識を生み出し、活動へのコミットメントを全体的に高めることに成功しました。
プロジェクトの開始にあたっては、まず動画コンテンツが大規模な運用に耐えうるかどうかを確認するため、簡易テストを実施しました。その結果、すでにソーシャルメディア用に制作された多様な動画素材が活用可能であることが判明。Brazeプラットフォームの機能を活用することで、本機能の立ち上げに必要なリソースとエンジニアリングコストを最小限に抑えられました。セットアップの検証後、ShareTheMealはカスタムコードを使用して動画アプリ内メッセージを作成しました。そこからは、CRMマネージャーがBrazeキャンバスを用いて「フィールドヒーロー」のジャーニーを構築し、個々の寄付者の好みに合わせたメッセージ配信を最適化していきました。
各フィールドヒーローに独自の物語を構築するにあたり、ShareTheMealが掲げた目標
- リテンションの向上と継続的な寄付の促進
- ShareTheMealアプリ全体のエンゲージメント向上
- 支援先や地域に基づいたメッセージのパーソナライゼーション
この戦略の主な構成要素
- アプリ内メッセージによるターゲットを絞った動画配信
- 関連する支援先の最新情報を伝えるプッシュ通知
コンセプトから「インパクトループ」へ:「フィールドヒーロー」キャンペーン実現まで
ShareTheMealは、アイデアワークショップとデザインからキャンペーンへの取り組みを開始していたため、実装フェーズでは迅速に動くことができました。最初のアイデアセッションから本番展開まで、実行までにかかった期間はわずか1カ月でした。
- まずチームは、アプリ内アンケート、ユーザーインタビュー、カスタマーサポートへの問い合わせ、メールアンケートなどからユーザーインサイトを収集し、オーディエンスのニーズや関心をより深く理解しました。これらのインサイトは、次のフェーズであるアイデア創出に参加するすべての関係者に共有されました。
- その後、デザイン、コンテンツ、マーケティング、プロダクト、エンジニアリングといった部門横断のメンバーが集まり、キャンペーンの方向性をブレインストーミングしました。最終的にチームは、再エンゲージメントを促すトリガーと報酬を中心とした習慣化モデルを採用し、「インパクトループ」と名付けました。コンセプトが具体化する中で、新たな戦略におけるギャップや機会を可視化するため、顧客ライフサイクルの例をマッピングしました。
- アイデアワークショップで決定したキャンペーン設計をもとに、コンテンツチームおよびテックチーム向けの指示書を作成し、各チームが作業範囲と共通の成果物を明確に理解できるようにしました。
- その後、CRMチームが引き継ぎ、ノーコードのジャーニービルダーであるキャンバスを用いてフローを構築しました。BrazeのカスタムHTML機能を活用することで、アプリ内動画メッセージを迅速に作成・テストし、進行中のプロダクトロードマップにおける仮説を検証しました。初期のHTMLコードはB.Layerを用いて開発され、その後BrazeのQAメンバーの支援を受けて改善されました。さらに、Brazeのコネクテッドコンテンツを活用し、行動データに基づいてチャネル横断でメッセージを動的にパーソナライズしました。メッセージ内容は、ユーザーが最後に寄付した目標(またはその他の関連データ)に基づいて設計されました。その後のキャンペーンでは、目標達成状況や寄付した食事数などの動的情報を追加するなど、さらなるカスタマイズも実施されました。これらの最適化は段階的に行われ、効果検証のために600以上のA/Bテストが実施されました。
各フェーズの展開後には、Braze AlloysパートナーであるAmplitudeを活用し、成果のモニタリングと分析を行いました。アプリ内動画コンテンツの初期導入以降、ShareTheMealは動画をエンゲージメント戦略の重要な要素として確立し、キャンバスを改善しながら、関連する新しい動画コンテンツをプッシュ通知やバッジでユーザーに知らせる取り組みを続けています。



現地からの動画が主要指標を大きく押し上げる
ShareTheMealの仮説は正しかったと言えます。寄付者を“現地”へと引き込むことは、エンゲージメントとリテンションにおいて転機となりました。
セッション数: グローバルコントロールグループと比較して53%向上
1ヶ月リテンション率: コントロールグループ比で114%向上
6ヶ月リテンション率: コントロールグループ比で137%向上
成功はKPIの数値だけではありません。「フィールドヒーロー」キャンペーンと「インパクトループ」はエンゲージメントKPI全体で大きな成果を上げただけでなく、Brazeの活用によりチームの効率性と運用コストの改善にもつながりました。他部門へのヒアリングによると、1.5名体制のCRMチームで、3倍以上の規模のチームに匹敵する業務量をこなしていると推定されています。
そして最も明確な成果は、人道支援を必要とする人々へ実際に支援を届けられたことです。寄付者を「フィールドヒーロー」として位置づけることでブランドへの信頼と継続率が高まり、その結果としてミッションの実現が加速しています。Brazeにより実現した、よりパーソナライズされたストーリーテリング型メッセージングによって、ShareTheMealは2021年以降、数百万ドル規模の資金調達を達成しました。そのすべてが現地支援に充てられ、世界の飢餓を終わらせるという目標に近づいています。
私たちはストーリーの設計者です。プロダクトを所有しているわけでも、執筆やデザインを所有しているわけでもありません。私たちが所有するのはナラティブ(物語)――つまり、ユーザーが独自のジャーニーを通じて通り抜ける『章の構造』そのものなのです。
Jon Genovard
CRMマネージャー, ShareTheMeal
高いエンゲージメントがより多くの寄付へ
Brazeを活用したパーソナライズされたメッセージは、ShareTheMealの成功、そして食料不安との闘いにおいて決定的な差生み出しました。CRMチームは業務効率の向上と、追加人員への依存度の低下を報告しています。柔軟性の高いBrazeのツール群を活用し、チームは600件に及ぶA/Bテストを実施しながら、継続的な改善を推進しました。
重要なポイント
1.ユーザーの立場に立ち、その動機を理解する: エンドツーエンドの顧客ジャーニーを深く掘り下げることで、パーソナライゼーションとターゲティングの新たな機会が見つかり、ブランド価値を高めることができます。ShareTheMealは、現場との繋がりを強めることがユーザーの報酬(満足感)になると仮説を立て、ジャーニーを通じてその結びつきを強化する方法を見出しました。
2.ストーリーテリングの新しい手法を試す: 画像やテキストだけで成果が停滞しているなら、既存の戦略に固執せず、動画などの新しい手法を試してみましょう。
3.リスクを恐れず、学ぶ: A/Bテストの継続と段階的なリリースにより、知見が得られ、最終的な収益向上につながります。ShareTheMealは「フィールドヒーロー」キャンペーンを段階的にリリースし、600回以上のA/Bテストを重ねることで、最適な方程式に辿り着きました。
ShareTheMeal(シェアザミール)は、Forge 2024にて新設された「Braze for Social Impact Award」の初代受賞者に選ばれました。この部門は、Brazeのテクノロジーを活用して、それぞれのコミュニティにポジティブな変化と実質的な影響をもたらしたブランドを称えるものです。受賞に伴い、ShareTheMealは、Tides Foundationの「Braze for Social Impact Fund」が提供する1万ドルの助成金を、自らが推薦する慈善団体へ寄付する権利を得ました。ShareTheMealはこの1万ドルを、「世界的な飢餓との闘い」のために充てることを決定しました。


