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ほっかほっか亭が実現した「非日常のワクワク」体験。データに基づいたファン育成でマスプロモーションから脱却し、キャンペーン売上平均110%向上を達成

Use Caseリテンションエンゲージメント
Industryリテール & eコマース
Productキャンバスモバイルプッシュ通知モバイルアプリメッセージ
RegionJapan
ほっかほっか亭が実現した「非日常のワクワク」体験。データに基づいたファン育成でマスプロモーションから脱却し、キャンペーン売上平均110%向上を達成
課題

創業以来の顧客層の高齢化に伴い、Z世代への認知度が低下。原材料高騰による利益構造の厳しさから、データに裏打ちされないマスプロモーションの継続が非効率的になっていました。リピーター育成のための「値引きに頼らない」具体的なファンマーケティング施策の確立が急務でした。

戦略

Brazeを導入し、マスプロモーションから脱却しつつ、顧客情報や購買データを分析した1to1マーケティングを実現しました。モバイルプッシュ通知とアプリ内メッセージを活用し、ゲーミフィケーション要素を取り入れた「SPチャンピオン決定戦」などの“ワクワク”を提供する施策を連続して展開することで、顧客エンゲージメントとリテンションの強化を図っています。

成果

Braze導入から約9ヶ月で、Braze経由の売上貢献が約4〜5千万円に到達しました。位置情報活用のお花見キャンペーンでは、対象店舗の売上が平均110%向上。カート落ち通知ではメッセージ送信3日以内に11%がモバイルオーダーで購入に繋がるなど、多様な施策でコンバージョン率が向上し、効果検証も可能になりました。

 株式会社ほっかほっか亭総本部
INDUSTRY
PRODUCTS USED
指標による成果

約5,000万円

Braze経由の売上高貢献実績(約9ヶ月)

+11%

カート落ちメッセージからのモバイルオーダー購入率

約7,000万円

モバイルオーダー売上積上(前期との比較)

事業の現状と、貴社の強みについてお聞かせください。

弊社は持ち帰り弁当チェーンとして、西日本を中心に約700店舗を展開しており、2026年に50周年を迎えます。市場環境としては、お米をはじめとした原材料の値上がりが非常に厳しく、利益を出すのが難しい状況に直面しています。その中で、弊社が長年培ってきた「中食事業のパイオニア」としてのプライドと経験は大きな強みです。また、他社に先駆けてカスタマイズ弁当の開発や、YouTuberとのコラボレーション、大阪・関西万博での出展など、Z世代に向けた新しい取り組みを積極的に行っていることも特徴だと考えています (飯沼氏)。

株式会社 ほっかほっか亭総本部 常務取締役 商品企画統括本部 本部長 
飯沼 俊彦氏

株式会社 ほっかほっか亭総本部 常務取締役 商品企画統括本部 本部長 飯沼 俊彦氏

Braze導入以前、マーケティングやデジタル施策においてどのような課題を抱えていらっしゃいましたか。

長年の課題は、高齢化です。お客様の年齢層が上がり、特にZ世代のお客様への認知が薄い状況でした。これまでは毎年同じメニューを出し、アニメコラボなど一定の効果はあっても、それがリピートに繋がらないことがデータで明らかでした (飯沼氏)。

また、弊社の規模を考えると、マスメディアを使った大々的なプロモーションは費用対効果の観点から効率的ではないと感じていました。こうした状況から、従来のマスプロモーションから脱却し、お客様の購買情報に基づいた1to1マーケティングを実現することが、デジタル戦略における喫緊の課題でした (飯沼氏)。

そのような課題を解決するために、Brazeを選定された理由やポイントは何でしょうか。

課題がマスプロモーションの非効率性とリピート促進の弱さにある中で、私たちが目指したのはファンマーケティングの実現でした。前職でファンマーケティングの重要性を痛感しており、お弁当事業においてもお客様にいかに楽しんでもらい、ワクワクしてもらうかという部分こそがCRMの本質だと考えています (飯沼氏)。

CRMというと値引きクーポンを配る施策に捉えられがちですが、Brazeであれば、値引き以外の施策を通じて、お客様に「ほっかほっか亭って面白いな」と感じてもらうような、ワクワク感を伴うファンマーケティングが実現できると確信しました。機能面でも、お客様の購買データを連携し分析できる点や、多様なチャネルを活用できる点も選定の決め手となりました(飯沼氏)。

Braze導入時の社内展開や初期運用で工夫された点、苦労された点はありますか。

Braze導入時、弊社のマーケティング部IT課には、ITや販促の知識がゼロに近いメンバーが多かったため、Brazeの用語や機能が「横文字だらけで異世界に感じた」という率直な意見もありました。マーケティングの環境にも慣れていない状況でしたので、Brazeのオンボーディングを含め、焦らずに着実に施策を積み上げていくことが重要だと考えました。まずは、セグメント分けなどもせずに、新商品のプッシュ通知といった簡単な施策からスタートしました (平尾氏)。

施策を続ける中で、開封率を分析し同じメッセージを送りすぎないよう回数を調整するなど、トライアンドエラーを繰り返しながらブラッシュアップを常に進めています。また、現在は営業部門が各店舗の課題解決にBrazeを武器として使えるよう、社内で勉強会を設けて、施策の目的や結果を共有する体制作りにも力を入れています (平尾氏)。

株式会社 ほっかほっか亭総本部 商品企画統括本部 企画本部 マーケティング部 IT課 課長 平尾 真一氏

株式会社 ほっかほっか亭総本部 商品企画統括本部 企画本部 マーケティング部 IT課 課長 平尾 真一氏

これまでのBraze活用事例の中で、特に効果があった施策とその成果についてお聞かせください。

お客様に「ワクワク」を提供するという点で、非常にフィットし、成果が見えたのは、ゲーミフィケーション要素を取り入れた施策です。一つは、リニューアル商品の認知拡大と購買促進のために行った、特定商品の食数でランキングを作り、順位をプッシュ通知で1to1配信する「SPチャンピオン決定戦」です。これは値引きではなく、お客様に楽しんでもらうことを重視した施策であり、現在も対象商品を変えて、新たに「モリモリチャンピオン決定戦」として継続実施しています (飯沼氏)。

薄い紫色の背景を背景に、3つの日本語通知を表示したほっかほっか亭アプリのプッシュ通知のスマートフォン画面。

SPチャンピオン決定戦のプッシュ通知例

また、非日常的なモーメントを捉える施策も効果的でした。位置情報を活用した「私を花見に連れてって」キャンペーンでは、店舗近くのお花見スポットを訪れたユーザーに対し、お弁当購入を促すプッシュ通知を配信しました。この施策は、実施前週と比較して対象店舗の売上が平均110%向上という成果を達成しています (平尾氏)。

位置情報データが桜の見頃プッシュ通知をトリガーし、モバイルウェブサイトへ誘導する流れを示す図解

お花見施策の例

定常的な施策としては、モバイルオーダーで商品をカートに入れたまま購入に至らなかったお客様に対し、1日後に購買を訴求する「モバイルオーダーのカート落ち」通知があります。このメッセージ送信後3日以内に11%がモバイルオーダーを利用しており、確実にコンバージョンに繋がっています。さらに、購入後の記憶が鮮明な24時間以内にアンケート依頼をプッシュ通知で行う施策も、他のプッシュ通知よりも開封率が約15%高いという結果が出ており、お客様との継続的な接点作りに役立っています (平尾氏)。

加えて、お誕生日に「おめでとうございます」というシンプルなメッセージをプッシュ通知で送る施策は、クーポン等の特典がなくても、通知後3日以内に必ず1人以上はモバイルオーダーを利用するという結果が出ており、お客様のほっこり感と来店動機に繋がっていることが実感できています (平尾氏)。

今後のBrazeの活用に関する展望や、挑戦したい施策についてお聞かせください。

まず、この2月から全店展開する予定のカスタマイズ弁当において、Brazeを活用し、お客様のこれまでの購買データから個々のお客様に最適なおかずのカスタマイズをレコメンドする1to1のコミュニケーションを実現したいと考えています (飯沼氏)。

また、現在データ連携を進めているオリジナルポイント制度「ほっかポイント」を活用したロイヤリティプログラムの構築も重要です。例えば、ポイント残高や有効期限をプッシュ通知で知らせるだけでなく、ポイントを消費してくじ引きに参加し、当たるとお弁当がもらえるといったゲーミフィケーション要素を兼ね備えた施策を通じて、利用率向上を図っていきたいです (平尾氏)。

バーコードとポイント残高を表示する日本のポイントアプリを起動したスマートフォン。

オリジナルポイント制度「ほっかポイント」

新規顧客の開拓については、アプリ利用客のその先にいるご家族やご友人をターゲットにした施策を検討しています。例えば、家族分使えるクーポンを提供するなど、ご家族全体にアプリの利用を広げるような施策をBrazeで実現したいと思っています (飯沼氏)。

機能面では、ユーザーの反応を捉えたシナリオベースの施策を増やすため、キャンバス機能を本格的に活用したいと考えています。さらに、コンテンツカードやメール機能を実装し、アプリ内メッセージやプッシュ通知と合わせたクロスチャネルでのコミュニケーションを強化していく予定です。これにより、アプリ利用頻度が低いお客様やメールアドレスを持つお客様に、効率的にアプリへの誘導を図っていきたいと考えています (平尾氏)。

二人の男性が「ほっかほっか」と日本語の看板がある建物の外に立っている。

Key Takeaways

ほっかほっか亭総本部の成果

ほっかほっか亭総本部様はBrazeを導入し、長年の課題であったマスプロモーション偏重から脱却しました。位置情報や購買データを活用した1to1の施策により、お客様に「ワクワク」を提供するファンマーケティングを実現。カート落ち対策やゲーミング要素を取り入れた施策が奏功し、売上平均110%向上、モバイルオーダー経由の売上貢献など、デジタル施策の効果検証と成果拡大を両立しています。


今こそ、進化するマーケターに。