エスティローダーカンパニーズは一貫した顧客体験を顧客にどのようにお届けしているか?

Published on 2023年6月14日/Last edited on 2023年12月18日/10 min read

エスティローダーカンパニーズは一貫した顧客体験を顧客にどのようにお届けしているか?
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Team Braze

カスタマーエンゲージメントを取り巻く環境は常に変化しています。新しいチャネルやタッチポイントが次々と生まれ、お客様の期待も高まり続けるため、解決すべき課題がなくなることはありません。このような状況において、新たな機会を活用するため、エスティローダーカンパニーズは過去2年間にわたり、最新テクノロジーを活用によるデータ主導のマーケティングアプローチのための大規模なデジタル変革に取り組んできました。

エスティローダーカンパニーズは、Brazeを活用、クロスチャネルのカスタマーエンゲージメントを実現、顧客の期待に応える体験を提供するために、顧客データの一元化、データおよび分析戦略の強化、カスタマージャーニーに沿ったチーム編成の再編成にも着手しました。これらの変化は、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する上で、大きな力となりました。

今年のOne-to-One Monaco Retail eCommerceイベントで、エスティローダーカンパニーズのデータ・インサイト・アナリティクスディレクターである Daniel Lindsay 氏に、このアプローチによってリード生成、コンバージョン、エンゲージメントに関する企業の戦略がいかに進展したか?についてお話をお伺いしました。この記事では、美容、銀行、QSR、エンターテインメントなど、顧客の獲得と維持を強化し、持続的な成長を実現するための6つの重要なポイントをご紹介します。

1. チャネルを追加してインパクトを高める

エスティ ローダー カンパニーズ傘下のブランドにとって、効果的なカスタマーエンゲージメントは最優先事項です。また、同社はエンゲージメント戦略を強化する方法を継続的に模索、新しい施策の展開を行ってきました。この取り組みの中で、Brazeを活用し、新たなチャネルを増やし、カスタマーエンゲージメント戦略のさらなる強化を行っています。

「徹底したレポーティングとデータ分析を行い、マルチチャネル戦略を成功させるため、理想的なチャネルの組み合わせを検証し続けています」とDaniel氏は説明します。「SMS、コンテンツカード、ブラウザ内メッセージ、データフィードなどの新しいチャネルを、サードパーティーのペイドメディアのアクティベーションにも採用しています。私たちが行う多変量解析などの統計分析の手法でわかることは、個々のチャネルそのものより、チャネルの組み合わせに着目する方がはるかに合理的ということです。」

2. カスタマージャーニーに沿ったチームを編成する

大企業の多くでは、成長の結果として、マーケティングチームが巨大化し、役割に応じてサイロ化した状態に陥っている企業が少なくありません。例えば、メールチームとモバイルチームが存在し、それぞれがデータを共有したり、マーケティング施策についてコミュニケーションが十分でないまま施策が進むケースがあります。この場合、本来中心であるべき顧客の存在がないがしろにされ、ジャーニーが分断され、全体的なパフォーマンスに悪影響を及ぼします。このような問題を同社では避けるため、チーム構造をカスタマージャーニーと密接に連携させることで、カスタマージャーニーをシームレスに対応させるための措置を講じました。

「デジタルトランスフォーメーションの施策の一つとして、カスタマージャーニーに焦点を当てた組織化やチーム編成を通じて、全体像を考え直す必要がありました。」とDaniel氏は語ります。その実現アプローチとして、ELCはカスタマージャーニーと関連データの統合を決め、管理部門自体の見直しも行いました。「現在では、私のもとにCRMチームがあり、包括的な戦略的アプローチを担当する全ブランドが連動して活動が行われています。」「CLINIQUE、MAC、Avedaなどの主要ブランドのチームと協力しながら、効果的なマルチチャネルアクティベーションを実施するためにデジタルスキルを提供しながら、ブランドアイデンティティが際立つ施策を展開しています。」

カスタマージャーニーとは何かについて詳しく知る

すべての企業がそうであるように、ELCもサードパーティークッキーの廃止が迫っており、マーケティング活動に与える影響を重要視しています。「クッキーの廃止で夜も眠れない」とDaniel氏も苦笑いします。「私たち、マーケターのペイドメディアでの活動が一変します。消費者プロファイルを構築するためのサードパーティがいなくなるため、ファーストパーティデータの活用をより深める必要があります。」

ELCのCRMチームは、Braze の Audience Sync を活用して、Facebook広告の施策を強化して、カスタマーエンゲージメントを中心にした広告の出稿効率の向上を行っています。

「Brazeを介して、私たちができるようになったことは、BrazeとMetaとの直接的なAPI連携です。」と説明しました。Brazeプラットフォームの Canvas Flowの一部である Audience Sync により「私たちのCRMチームは、カスタマイズされた顧客セグメントをFacebookに反映させることができます。」

「私たち自身のデータから彼らがどんなペルソナかを類推することができます」「どのブランドに注目し、どの製品を購入したかもわかります。API連携で、BrazeからMetaにデータを送信すれば、InstagramやFacebookを介し、直接ターゲットできます。」また、Audience Syncにより、ELCが「既存の顧客と似たようなオーディエンスを構築し、ブランドに誘導したい同じようなペルソナの消費者にアプローチできます。現在、ペイドメディアはすでにこのアプローチが中核となっており、さらに重要性が増す領域だと考えています。」と述べました。

4. 対面でのやり取りからデータを統合する

多くの小売業者やeコマース企業は、デジタルと対面の組み合わせを、消費者と関わりやブランドとの関係を、より緻密で包括的なものとすべく、活用しています。直接的な関わりからデータを集めていない業界の企業でも、この組み合わせは顧客体験を豊かにし、顧客への価値向上に役立ちます。

ではデジタルと対面の情報を結びつけるには、どんな方法があるのでしょうか?ELCがどのようにデジタルと対面のタッチポイントから情報を集めているのかを見てみましょう。「現在のシステムでは、ハロッズでの購買行動や、MACの直営店で購入したデータも見ることができます。その両方の異なるブランドの異なるタッチポイントで、消費者と私たちとのやり取りや購入情報を把握できます。」とDaniel氏は説明します。「これらの情報によって、私たちのチームは、ブランドのさまざまな部分におけるカスタマージャーニーを理解できます。」

5. 重要な指標を測定する

ELCは戦略的な変革を進めるべく、計量経済学、メディアミックスモデリング、マルチチャネルアトリビューションを用いて、クロスチャネルマーケティングの効果を理解する取り組みを行っています。「全体像を把握し、各チャネルが一体となって、どんな成果を生み出しているのか、私たちは理解する必要がありました。」とDaniel氏は続けます。

彼は、小売ブランドに対して、販売指標だけでなくマーケティングやエンゲージメントの取り組みの状況を正しく測定するため、さらに長い期間でそれらを見つめることを推奨しました。「私たちマーケターは、ファネル全体の視点から、指標やKPIを設定しています。特定のチャネルに投資をしています、ただ、それが今日の売上を生み出すことを期待しているわけではありません。私たちは中長期の視点で、売上に繋がることを期待しています。では、短期の視点では、私たちの成功をどのように測定するのでしょうか?」ELCは「メディア、消費者、収益性、財務の異なる指標にわたる包括的なフレームワークの構築中で、ファネルの上流で特定の指標を推進すると、ファネルの中流ではどのような意味を持つべきか?などの議論を行っています。」と指摘しました。「私たちは、データの価値を理解し、異なるチャネルで、異なるデータポイントがどのように関係しているか?を考えるようにしています。」

6.失敗を早く、かつコストを抑える

ELCのデータ、インサイト、そして分析における一つの行動指針は「テストの失敗は構わない、ただ、失敗は早く、そして安くする」というものです。つまり、テストすることを恐れず、ネガティブな悪影響を最小化することがとても重要です。「十分に小規模なテストであれば、ビジネス全体に影響は与えない というのが私からのアドバイスです。」とDaniel氏は述べます。しかし、一方でマーケターがテストを行う際には「人々の注目を集め、そのリターンの大きさが分かるくらい、十分な規模であることも重要」と述べています。

a quote that says my one piece of advice would be to ensure that your test is small enough to be isolated

新しい事業や新しい戦略的アプローチに着手する際には、必ず大規模なテストと試用期間を設けています。例えば、あるブランドと協力してキャンペーンを実施し、新しいアプローチが実際に機能するかを把握する必要があります。そして、その確証の元、全ブランド、全カテゴリーに拡大することを目指します。

Brazeを使用することで、ELCは所有するチャネル(Audience Syncによる有料チャネルも含む)で簡単に実験を行い、独自のデータを活用できるため、新しいチャネルやアプローチをテストする際のコストを最小限に抑えることができます。

最後に

Brazeプラットフォームのカスタマーエンゲージメント機能(カスタマージャーニーマッピングやキャンペーン管理、ペイドメディア最適化のための簡単なサードパーティ統合など)を活用することで、ELCはマーケティング施策を次のレベルに引き上げ、時代の先端を行くことができました。Brazeプラットフォームがどのように優れたクロスチャネルカスタマーエンゲージメントをサポートするかについては、「The Cross-Channel Marketing Difference」(英語版のみ) をご覧ください。

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