Braze City x City Tokyo 2025 開催レポート:Braze Opening Keynote

公開 2025年11月28日/更新 2025年11月28日/8 分で確認

Braze City x City Tokyo 2025 開催レポート:Braze Opening Keynote
作成者
Team Braze

コンポーザブル・インテリジェンスで実現するデジタルな「おもてなし」

2025年11月13日(木)にグローバルイベント「Braze City x City Tokyo」をウェスティンホテル東京で開催し、カスタマーエンゲージメントの未来を形作る新しいビジョンを発表しました。Braze CEO兼共同創業者のビル・マグヌソンによる基調講演では、AIがマーケターと消費者の双方に与える影響と、それを実現する新しいフレームワークを紹介しました。

Brazeの CEO兼共同創業者のビル・マグヌソンによる基調講演の写真

スポーツの勝利とカスタマーエンゲージメントの共通点

ビルは東京到着時に大谷翔平選手、山本由伸選手、佐々木朗希選手がロサンゼルス・ドジャースでワールドシリーズを制した瞬間に立ち会った経験を共有しました。このような勝利は何年もの献身、チームワーク、準備の積み重ねによって生まれるものであり、顧客エンゲージメントも同様に、決定的な瞬間で最高のパフォーマンスを発揮できるような準備を日頃心がけてきた者が勝利を収める、と語りました。

AI時代のカスタマージャーニー

また、ビルは自身の実体験を通じて、AI時代における消費者行動の変化について説明しました。

数週間前、ニューヨークのマンハッタン橋を自転車で渡っている際に、自転車のクランク部分のベアリングが故障し、異音が聞こえ、それ以上漕ぐのが困難になりました。修理店に持ち込むこともできましたが、自転車への情熱も高められると思い、自分で修理することにしました。まず、ChatGPTで問題を診断し、駆動系について学び、修理だけでなく、アップグレードするための新しいパーツ提案を受けました。AIは日本の精密部品メーカーを推奨し、ビルはSugino、Izumi、Shimanoの駆動系パーツをメーカーから直接注文し、取り付けを行いました。

ポイントは、AIとの対話から始まったものの、単にAIに全てを任せるのではなく、自分が情熱を持っていることに気付かされ、その過程で新しいブランドとの関係を築いたという点です。修理だけが目的なら、修理店に預ければ済みますが、自ら学び、理解し、実践することで、消費者としての体験はより豊かで意味のあるものになります。

なお、この自転車は2011年にニューヨークに引っ越し、CTOのジョン・ハイマンと共にBrazeを共同創業した際に購入したもので、Brazeの14年の歴史と深く結びついています。2011年のApp Store黎明期に創業したBrazeは、過去14年間、最先端技術の可能性をマーケターの手に直接届けることで、顧客エンゲージメントの未来を築いてきました。モバイルの普及により消費者の期待は急激に高まり、企業は顧客に注意を払い、顧客の情熱とつながり、関心を持ってもらう必要性が増しています。

Brazeは「コンポーザブル・インテリジェンス」という概念で、マーケターの仕事を加速させ、より戦略的なレベルへ向上させることを提唱しています。

顧客との関係構築の重要性

スマートフォンが普及した現在、消費者の期待は急激に高まっています。顧客の貴重な時間や注目、支持、購買のために、ブランドは顧客に注意を払い、顧客の情熱とつながり、顧客の関心を引く必要があります。

良い聞き手となり、顧客のデジタルボディランゲージ(オンライン上での行動パターン)に注意を払い、顧客は貴重なファーストパーティデータを共有し、ブランドとのつながりを許容してくれます。ロイヤルティプログラムへの登録やアプリのダウンロードがきっかけとなるかもしれませんが、スマートフォンとAIアシスタントの個人的な性質により、顧客との強固な関係を構築する機会はかつてないほど大きくなっています。

一方で、AIの登場により、顧客との豊かな関係を構築し、ファーストパーティデータで関係性の文脈を理解し、顧客の注意が向けられる場所やタイミングを捉えて、適切にエンゲージできる仕組みを持つことが、これまで以上に重要です。

新しいフレームワーク:Context、Intelligence、Interaction

Brazeはこれまで、ファーストパーティデータの収集(聞く)、Canvasによるデータ整理と処理(理解する)、そして各種チャネルを通じた顧客体験の提供(行動する)という流れで、顧客エンゲージメントを実現してきました。この基盤は信頼性が高く高性能なものですが、コンポーザブル・インテリジェンスによって強化するにあたり、より表現力豊かな言葉でビジョンを伝えるため、新しいフレームワークへと進化させました。

Context(文脈)従来の「聞く」から「文脈」へ。コンテキストは豊かで流動的、質感があり、顧客理解の範囲を拡大させます。ビルは日本語の「おもてなし」の精神を引用し、言葉になる前にニーズを予測し、必要なものをあらかじめ提供する「おもてなし」の実現を掲げました。顧客の動機とつながり、表面的なことだけでなく、顧客が今どこにいるか、どこに向かいたいのかまでを理解することができます。

Intelligence(知性)ルールベースの自動化から、自律的で洗練されたAIへの移行が重要です。この変化は加速と向上の両方を実現します。仕組みを自動化することで、創造力を発揮する余裕が生まれ、知性を向上させることで、アイデア、戦略、関係の質が高まります。単に同じ施策をより速く実行するだけでなく、マーケティング全体のレベルを引き上げることが目的です。

Interaction(相互交流)メッセージ配信や広告表示に限定せず、すべてのプラットフォーム、チャネル、デバイスにわたってエンゲージし、顧客とのやり取りを深め、関係を深化させます。双方向のコミュニケーションを通じて、継続的に文脈を豊かにしていきます。

AIエージェントの活用

AIエージェントは目標を与えられると、文脈を理解し、意思決定を行い、代わりに行動します。Brazeではエージェントを活用、ブランドの特徴を理解しつつ、メッセージング内容のレビューから、各顧客に対してパーソナライズされた新しいコンテンツを自律的に生成します。

複数のエージェントをチームとして組み合わせ、例えば商品説明の更新、商品推薦のパーソナライゼーション、翻訳、品質管理など、それぞれのタスクを担当するエージェントを編成できます。

マーケターの役割

ビルは東京ドームでのテイラー・スウィフトのツアーを例に、マーケターの進化する役割について説明しました。会場を創り上げるチーム、ツアーを創り上げるチーム、アーティストを支援するスタッフ、これら独自のスキルを持つスタッフを組み合わせ、素晴らしいショーを創り上げる指揮者。これこそが、これからのマーケターの役割です。

これらのエージェントとシステムがより能力を高めるにつれ、マーケターの役割は大きくなります。自動化に埋もれることなく、指揮者のように戦略的目標を設定し、進化するコンテキストに基づき、変更を加え、味わいと創造性溢れる体験に昇華させることができます。

Brazeの実績と今後の展望

Brazeは数十億の月間アクティブユーザー、昨年送信された何兆ものメッセージ、2025年にはすでに10兆を超えるデータポイントを処理しています。さらに、昨年は1兆を超えるWebhookを送信し、過去50日間だけで1,000億を超えるConnected Contentコールを完了しました。

ビルは講演の最後に、イノベーションの高速化だけでなく、働き方が変わると述べます。AIの機能や役割は日々、拡大していますが、どう導くか、その責任は依然としてマーケターにあります。好奇心を持ち続け、強力な新しいツールを学び、新しい仕組みを作り続けることで、顧客のために新たな付加価値が提供できる、と締めくくりました。

Braze City x City Tokyo 2025の会場の写真

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