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人とブランドをつなげる 顧客体験の創り手たち Vol.7 | 田中 義人さん

公開 2025年8月27日/更新 2025年8月27日/10 分で確認

人とブランドをつなげる 顧客体験の創り手たち Vol.7 | 田中 義人さん
作成者
Team Braze
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人とブランドの“つながり”をつくる、挑戦者たちの物語

Brazeでは、顧客とのエンゲージメントに革新をもたらす人々に独自でインタビューを行い、彼らの挑戦と成果を紹介する「人とブランドをつなげる 顧客体験の創り手たち」をお届けしています。現場での知見や工夫、Brazeの活用方法など、実践的でリアルなストーリーを通じて、マーケティングの未来を考えるヒントを共有していきます。今回は、ファイターズ スポーツ&エンターテイメントのマーケティング部で活躍する田中義人さんにお話しを伺いました。

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次世代の新しい街づくり構想にワクワクした

最初に、現職に至るまでのキャリアパスを教えてください。

田中 大学時代に先輩たちとベンチャー企業を創業しました。スポーツエンターテインメントアプリPlayer!の開発、企画、広告営業、採用や広報なども幅広くやりながら、20代は会社とアプリを成長させるため全力疾走の毎日でした。30歳を目前にした頃から、次のキャリア構築に向けた新しいチャレンジをしたいと思うようになり、中途採用の選考を経て、2023年1月から思い切って家族で北海道北広島市に移住してきました。

プロスポーツチームで働きたい、という思いは以前からあったのですか?

田中 きっかけは「北海道ボールパークFビレッジ(以下、Fビレッジ)」の構想に大きな魅力を感じたことです。本拠地のエスコンフィールドHOKKAIDO(以下、エスコンフィールド)を中心に、「世界がまだ見たことのないボールパークをつくる。スポーツが暮らしに根付いた、次世代の新しい街を創造する」。そんな唯一無二な事業構想にワクワクして、グッと心を衝き動かされ、自分もここでしか経験できない場に身を置きたいと考えました。

a man wearing a lanyard that says fighters on it


マーケティング部の所属ですが、前職での経験はどう生きているのでしょうか。

田中 弊社のマーケティング部は、プロモーショングループと私が所属する顧客マーケティンググループの2つのグループで構成されています。新規開拓のための施策を中心に行うのがプロモーショングループで、獲得したユーザーとの関係性を深め、エンゲージメント強化を目指すのが顧客マーケティンググループ、という役割分担となります。顧客コミュニケーションの軸となるのが、2023年3月にリリースした北海道ボールパークFビレッジ公式アプリ(以下、Fビレッジ公式アプリ)です。前職でもPM的な立ち位置で、エンジニアと協力しながらのアプリ開発、ユーザー獲得と顧客体験向上のための施策などにも携わっていたので、その経験がFビレッジ公式アプリの開発、運用につながっていると思います。

現在、注力して取り組んでいることについて教えてください。

田中 Fビレッジ公式アプリの企画、開発というのがメインで一つ。もう一つがアプリに登録されたユーザー個々の情報にもとづき、顧客体験の向上につながる施策の企画、実行です。プロ野球チームのマーケティングは、一般的なECや予約サイトとは違い、チケットの販促に加え、球場でのリアルな観戦体験まで含まれるところが特徴的だと思います。試合日程はあらかじめ決まっているので、そこに合わせたキャンペーン等のお知らせが必要で、試合当日、そして試合がない日もコミュニケーションする必要があります。ユーザー属性は老若男女を問わずさまざまですから、どうやったら刺さる施策が打てるのか、試行錯誤の毎日です。

顧客体験創造の要となるFビレッジ公式アプリ

野球に限らず、プロスポーツチームの運営において、顧客体験の向上は重要テーマです。Fビレッジでの取り組みの独自性、強みはどこにあるのでしょうか。

田中 エスコンフィールド誕生にあわせて、統合顧客IDとして「F VILLAGEアカウント」が新設されました。もともと、有料ファンクラブをはじめ複数サービスのIDが存在していたのですが、それを1つにまとめたもので、F VILLAGEアカウントをベースに、来場者、ファンとのタッチポイントとなるのがFビレッジ公式アプリです。ファイターズの試合チケットの購入や入場ゲートでのQRチケット表示、Fマイルを貯めることができる会員証、QR決済等の機能を備えています。おかげさまで公開から約2年でダウンロード数は既に60万を超え、顧客の属性情報、購買行動などのデータが日々蓄積されており、そのデータにもとづき、きめ細かくパーソナライズした施策を強化しております。

a man wearing a lanyard that says fighters on it


顧客体験の向上に向けていろんな施策に取り組んできたと思いますが、印象に残っているケースを教えてください。

田中 強烈に印象に残っているのは、やっぱり失敗例ですね。ファイターズには鮭をモチーフにした「しゃけまる」という応援グッズがあり、アプリ連動で、球場内の大型ビジョンに「しゃけまるを放流しよう!」という、遊び心のあるコンテンツを企画しました。試合開始前にやれば盛り上がると思ったのですが、ゲートでのチケットチェック、飲食やグッズ会計のピークに重ねてアプリ上で放流を行ったところ、認証システムがパンクして……。会員証を提示できずレジがスタックしたり、アプリでのQR決済ができなくなったり、、、球場での一体感を高めることで、顧客体験の向上につなげようという発想は良かったと思いますが、インフラを含めその能力も十分に理解した上で、球場全体の体験として施策を考える必要がある。とその失敗から学び、今年は改善して安定的にデーゲームの試合後に実施しています。


北海道という地域性を生かした取り組みもありそうですね。

田中 エスコンフィールドに来場し、アプリでチェックイン(来場登録)すると、抽選で選手のサイン入りグッズやクーポンが当たるチェックインチャレンジに参加できます。これをベースに、コンビニエンスストアチェーンのセイコーマート(セコマ)さんとコラボして、セコマ全店舗で期間限定のチェックインチャレンジを昨年から企画しました。店舗内でFビレッジ公式アプリを立ち上げると抽選に参加でき、ファイターズ試合観戦チケットやセコマで使える割引クーポンなどが当たるという内容です。セコマさん側は集客が期待できるし、我々は新たなユーザー開拓のきっかけにもなり、双方にとってメリットの大きい取り組みになったと思います。

an aerial view of a baseball stadium in a city surrounded by trees and buildings .

©H.N.F.

施策のスピード、精度面でもデジタルツールは欠かせない

Fビレッジ公式アプリは御社の顧客体験の向上に欠かせない存在になっていますが、データやデジタルツールの活用でアプリの価値をより高められそうです。

田中 F VILLAGEアカウントに複数サービスの顧客データを集約し、当初は自前のBIツールで可視化できるようになっていました。開業初年度はできる範囲で、集まったデータを分析、抽出して何とか配信に活かしていました。また、アプリだけでなくウェブでのコミュニケーションもとなると、すべてが統合されたプラットフォームで管理、配信できる仕組みのほうが効率的です。マルチチャネルで横断的にコミュニケーションできるプラットフォームとして、Brazeの利用が始まりました。2023年の秋から検討を始め、24年の1月から利用に必要なオンボーディング開始したという流れです。

どんな施策にBrazeを活用してきたのでしょうか。

田中 最初はカゴ落ち対策のリマインド通知から始め、アプリもメールも、人によって伝える内容を変えた運用へ順次切り替えていきました。アプリ内での行動や事前のアンケートをもとに、興味を持ちそうなイベント、来場回数に応じたプレゼント企画などをお知らせし、パーソナライズしたアプローチでチケットの販促につなげようとしています。カスタマージャーニーに沿ったコミュニケーションで、顧客体験を向上できている手応えもありますね。

Brazeのようなツールを利用する価値はどこにあるとお感じでしょうか?

田中 データ起点でコミュニケーションの精度を高め、よりよい顧客体験を提供するには必須ではないでしょうか。施策の企画から実行までのスピード感を高められるし、効果検証から見直しまでを含め、PDCAを素早くまわせるのも大きなメリットです。施策の自動化も可能だし、再現性を高めることもできるでしょう。もちろんデータをどう見るか、どう扱うかというところではマーケターの経験やセンスが必要ですが、そうした部分とデジタルツールのかけ合わせで創造性を高められる、という言い方もできるかもしれません。

誰も経験したことのない新しい顧客体験をつくる

マーケターとして、データ活用を含めて日々の業務で意識していることは?

田中 シンプルに、わかりやすく、楽しく、です。Fビレッジ公式アプリは試合日の球場内で混雑している中に使っていただくシーンが多く、プロ野球ファンは年齢層の高い方も多いので、複雑な設計にしてしまうと、こちらの意図が十分に伝わらない可能性もあります。具体的な施策面では、再現性が高く、いろんな広がりが期待できる汎用性も意識しています。

今後、やってみたいこと。築きたいキャリアについて聞かせてください。

田中 短期的なところだと、BrazeのLINE連携機能を活用したエンゲージメントを密にする取り組みで、LINEミニアプリ展開も視野に今まさにチャレンジしているところです。中長期的なところでは、前述した「世界がまだ見たことのないボールパークをつくる。スポーツが暮らしに根付いた、次世代の新しい街を創造する」という事業構想の実現になります。2028年に新駅開業を控え、同時期に大学の移転、そして大型ホテルの開発も予定されています。エスコンフィールドに野球観戦にご来場される方だけでなく、この地域に住む人、働く人、学ぶ人、旅行で訪れる人たちを含め、広い意味での顧客体験を向上させたい。F VILLAGEアカウントやFビレッジ公式アプリで人々と街をどう繋いでいくか具体的な検討はこれからですが、ハードとソフトの両面で、今までにない顧客体験を提供できる街づくりに携わっていきたい。ワクワクの本番はまだまだこれからだ、と思っています。

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