グロースマーケターが「ライフサイクルマーケティング」なしではいられない理由
公開 2025年5月14日/更新 2025年5月14日/17 分で確認


Team Braze
あらゆるマーケティングチームが、ペイド・オウンド・アーンドメディアを通じて新規顧客の獲得に取り組んでいますが、それと同じくらい重要なもう一つの側面があります。それが「ライフサイクルマーケティング」です。このデータに基づいたアプローチは、顧客とのエンゲージメントを最適化し、リテンション(継続率)を高め、ブランドへのロイヤルティを強化することを目的としています。
カスタマーライフサイクルマネジメントは、見込み顧客や新規顧客をオンボーディングし、関係性を深めながら、ライフサイクル全体を通じて顧客を育成していくことに焦点を当てています。
効果的なライフサイクルマーケティング戦略を実施することで、企業は顧客獲得コストを抑えながら、顧客生涯価値(LTV)を高めることができます。これは、顧客一人ひとりのライフサイクルの段階に合わせて施策を展開し、長期的な関係性や節目ごとの認識を意識した継続的な関与を実現するからです。
このガイドでは、ライフサイクルマーケティングのプロセスを順を追ってご紹介しながら、代表的なキャンペーン事例、ブランドにとってのメリット、そして効果的な戦略を構築するための具体的なステップをお伝えしていきます。
ライフサイクルマーケティングとは?
昔からの友人に、初対面のように自己紹介をすることはありませんよね。逆に、初めて会った人に対して、自分のことを知っている前提で話すのも不自然です。私たちは、人との関係性に応じて自然に対応を変えています。
ブランドが顧客に対して同じように対応するとき、それを「ライフサイクルマーケティング」と呼びます。
ライフサイクルマーケティングとは、顧客がブランドとの関係性において、どの段階にいるかを把握し、そのニーズに最適な方法で応えることを目的としたマーケティング手法です。たとえば、まだブランドを知ったばかりの顧客、初めて購入した顧客、あるいは長年のファンなど、それぞれの段階に合わせてアプローチを変えていきます。
このような戦略を取り入れているブランドは、すべての顧客が同じ状態にあるわけではないということを理解しています。だからこそ、顧客の現在地を見極め、そのステージに応じたコンテンツや情報、キャンペーン、体験、そして価値を届けることが大切なのです。
ライフサイクル戦略とは?
ライフサイクル戦略とは、顧客がブランドとの関係性においてどの段階にいるのかに応じてアプローチするマーケティング戦略のことです。
すべての顧客を同じように扱う「一律のマーケティング手法」とは異なり、ライフサイクルマーケティングを取り入れているブランドは、顧客一人ひとりのステージを見極めるためのデータとインサイトを持っています。
このような企業は、ゼロパーティデータやファーストパーティデータを活用して、より意味のあるセグメント化されたターゲットキャンペーンを展開し、顧客との関係性を深めていくことを目指します。
ライフサイクルマーケティングの重要性:顧客ライフサイクルマネジメントのメリット
優れたライフサイクルマーケティングを行うことで、あらゆる顧客との接点を、パーソナライズされたタイムリーな体験へと変換することができます。これにより、マーケティングファネル内での前進を促し、KPIの改善、CAC(顧客獲得コスト)の抑制、そして持続可能な成長につながります。
より関連性の高いキャンペーンを実施できる
顧客のライフサイクルに関する詳細な分析を行うことで、長期的なエンゲージメントを維持するために取るべきマーケティングアクションを特定・最適化することができます。抽象的なファネルに無理やり当てはめるのではなく、それぞれのユーザーが今どこにいるのかを把握し、その段階に合わせた最適な価値ある体験へと導くことが重要です。その結果、より効果的なクロスチャネル戦略と効率的なキャンペーンが実現します。
ライフサイクルマーケティング戦略の構築方法
効果的なライフサイクルマーケティングを行うには、顧客の体験を正確に把握し、そのジャーニーのあらゆる段階で適切なデータを収集し、それに基づいて迅速に対応・改善していくためのテクノロジーが必要です。これは複数のシステムが連携し、リアルタイムでデータを共有し合うことが求められます。
以下のステップとベストプラクティスを参考に、成果につながるライフサイクルマーケティングプログラムを構築していきましょう。
ステップ1:顧客を理解する
まず重要なのは、顧客の体験と、そのカスタマージャーニーを形作る各フェーズを明確に把握することです。マーケティングにおける主要なライフサイクルステージを決定するために、以下のような方法で調査を行いましょう。
ステップ2:顧客の背景や関心、現在のステージを把握する
カスタマーエンゲージメントプラットフォーム、データプラットフォーム、分析ツールなどを活用して、顧客をセグメントごとに分析し、それぞれの行動の違いを見つけます。
やるべきこと:年齢、地域、好みといった属性別のセグメントだけでなく、アプリやウェブサイト上でのコンテンツ・機能・メッセージ・製品に対するエンゲージメントレベルによっても分類します。また、使用チャネル、流入経路、顧客になった日付なども基準にできます。
注目すべき点:それぞれのセグメントがブランドとどのように関わっているかの違いに着目しましょう。たとえば、メール購読者はセール時に購買行動をとりやすい傾向があるかもしれませんし、若い顧客は友人が利用していることでソーシャルアプリに戻ってきやすいかもしれません。メール登録、オファーの利用、ロイヤルティプログラムへの参加といった重要なコンバージョン前に、どのような価値の高いアクションが起きているかに注目しましょう。
自社にとって最も有用なユーザーセグメントを作成する
顧客が前述した4つのライフサイクルステージをすべて通過するとは限りませんし、その進行が必ずしも直線的とは限りません。現代のカスタマージャーニーは、複雑で、入り組んでいて、非常にパーソナルなものです。あなたの会社にも、独自のライフサイクルフェーズが存在しているはずです。たとえば、オンデマンドのライドシェアサービスを提供する企業だとしましょう。ユーザーの利用状況に大きなばらつきがあることに気づくかもしれません。ユーザーAはたまに安価な相乗りサービスを利用するライトユーザー。一方、ユーザーBは、安定した黒塗り車のサービスを必要とするコンサルタントやスモールビジネスオーナーです。
こうした傾向から見えてくるのは、「すべての顧客に当てはまる単一のライフサイクル」など存在しないという事実です。ユーザーはそれぞれ異なる課題やニーズを抱えて御社にやって来るため、その多様性を反映したフレームワークが必要なのです。
1. ユーザートレンドを時間軸で分析する
ユーザーがどのようにサービスを利用し、どのように変化していくかを時系列で観察します。
2. 複数のライフサイクルをリスト化・マッピングする
ユーザーごとに異なるジャーニー旅路があるため、それぞれの代表的なパターンを明確に把握しておきましょう。
3. 理想的なライフサイクルファネルを設計する
例えば、割引・限定アクセス・送料無料などの特典を提供する有料メンバーシップを備えた小売ブランドの場合、以下のようなステージが考えられます:
- 認知(Awareness):ブランドの存在を知る
- 関心(Interest):ウェブサイトやアプリを訪れる
- アクティベーション(Activation):無料アカウントを作成
- 収益化(Monetization):初回購入を行う
- リテンション(Retention):一定期間にわたって利用し続ける
- ロイヤルティ(Loyalty):有料メンバーシップに加入する
4. ユーザージャーニーを視覚化した図を作成する
ライフサイクルマーケティングのキャンペーン目標とKPIを定義する
マーケティング施策のすべては、ユーザーを次のステージへと導くためのものです。主要なライフサイクルステージを起点に、「顧客は誰なのか」「どのステージにいるのか」「どんな情報やオファーが行動を促すのか」を考えます。
各キャンペーンは、ユーザーを次のフェーズへと進めることが目的であるべきです。そのため、各目標には計測可能なKPIを設定しましょう。具体的なゴールに紐づく指標を選ぶことで、キャンペーンの最適化がしやすくなります。
チャネルとタッチポイントを横断した体験を設計する
顧客のジャーニーの初期段階から適切なデータを収集し、それに基づいたタイムリーかつパーソナライズされたライフサイクルマーケティングを実現するには、Brazeのようなプラットフォームが必要になります。
ここからが本番です。すべての顧客に同じ内容を届けるのではなく、より小さなセグメントに向けて、それぞれに適した「次のステップ」を意識したメッセージを配信するのです。重要なのは、適切なタイミングで、適切なメッセージを、適切なユーザーに届けるということです。
たとえば、小売企業でライフサイクルマーケティングを実施していて、現在閲覧中だが購入には至っていないユーザーの購買意欲を高めたいと考えているとします。過去のデータを分析し、これらの顧客は新商品やキャンペーンの発売時に購入する可能性が高くなることを予測しました。このパターンを活用すれば、毎朝プッシュ通知などのメッセージを送信し、新商品や再入荷商品を顧客に知らせることができます。送信時間の最適化によって、各顧客がメッセージに反応する可能性が最も高いタイミングで通知が届くよう、さらにパーソナライズすることも可能です。また、過去の購入履歴に基づいて、パーソナライズされた商品レコメンデーションを表示し、通知内容をカスタマイズすることも可能です。
結果、フィードバック、学習に基づいてライフサイクル戦略を反復して進化させる
ライフサイクル マーケティング戦略とそれに対応するライフサイクル マーケティング キャンペーンを構築するプロセスでは、すべての決定とすべてのステップに悩むことは当然ですが、もちろんそれは実行に移すまでに時間がかかることを意味します。
できるだけ多くのユーザーとの関係を深めることが大切だということを覚えておいてください
まずはいくつかのキャンペーンを実行し、いくつかのテストを行って、その結果を確認するのが良いでしょう。
学習と反復のためのテスト
多変量テストを使用して、どのタイプのメッセージ(トーン、長さ、形式、送信頻度)が最も反響を呼ぶかを把握し、そこからキャンペーンを調整します。
ライフサイクルマーケティングキャンペーンの10以上の例
ここでは、メール、SMS、アプリ内メッセージ、ブラウザ内メッセージ、Web およびモバイルプッシュ通知、WhatsApp/LINE などのメッセージアプリなど、マーケティング ライフサイクルの 4 つのステージとチャネル全体で顧客との関係とエンゲージメントを深めるためにブランドが作成する最も人気のあるライフサイクル マーケティング キャンペーンの一部を紹介します。
認知ライフサイクルマーケティングキャンペーン
これらのキャンペーンを使用して、ブランドとのカスタマー ジャーニーの開始時にユーザーを活性化し、教育します。
- リードジェネレーションとアカウント作成キャンペーンでオーディエンスを拡大:ウェブサイトやアプリを積極的に閲覧しているものの、アカウントを作成していない匿名ユーザーに対しては、製品内メッセージ(ランディングページ、アプリ内メッセージ、ブラウザ内メッセージ、コンテンツカードなど)を活用し、アカウント保有のメリットを説明し、連絡先情報を直接入力するよう促すことで、登録を促すことができます。この段階では、ユーザーに適切なスタートを切ってもらい、早期に価値を理解してもらうために、オンボーディングとウェルカムシリーズが非常に重要です。
- 休日や文化的な特別なマーケティング: 一年の特定の日に結びついた、季節感のあるブランド関連のメッセージングを検討してください。
- 無料トライアル キャンペーン:ブランド、製品、サービスの概要を (無料で) プレビューして、ユーザーを検討段階に進めます。
検討ライフサイクルマーケティングキャンペーン
これらのキャンペーンは、新しく獲得した顧客についてさらに詳しく知り、顧客がコンバージョンする準備が整ったタイミングで最適な誘導メッセージを送信するのに役立ちます。
- プリファレンスキャンペーン:アプリ内メッセージなどの製品内チャネルを通じてアンケートを実施し、初期段階のユーザーをより深く理解することで、ユーザーの好みや目標に関する追加情報を取得し、その回答をどのように活用してユーザー体験を向上させるかを説明します。
- 推奨キャンペーン:顧客の好みに基づいてパーソナライズされた推奨事項やその他のコンテンツを送信します。
- カート放棄の通知:購入手続きを開始した人の約70%カート放棄や購入意思がなくなっています。これは、商品やサービスへの反応がなくなった後に、ユーザーを再びショッピングフローに呼び戻すための有効な手段でもあります。
- 無料から有料へのキャンペーン:有料サブスクリプションでのみ利用可能なコンテンツのプレビューを提供し、コンテンツを引き続き視聴するにはサインアップを促します。
満足段階のライフサイクルマーケティングキャンペーン
ブランドに満足している顧客は、ロイヤルユーザーや推奨者(ブランドの伝道者)へと育てることができる重要な存在です。この段階で適切なキャンペーンを展開することで、クチコミによる拡散効果を生み出し、広告コストの削減にもつながります。
- レビュー・評価依頼キャンペーン レビューは自然に集まるものではなく、こちらからお願いすることが重要です。効果的に集めるためには、ロイヤルかつアクティブで満足度の高いユーザーに絞って配信しましょう。
- 継続利用を促すキャンペーン(ストリーク継続) 継続している利用・行動に関して、「⚪︎日連続で利用中です!」などのアップデートを送り、モチベーションを維持・向上させましょう。
- 友達紹介キャンペーン タイミングが鍵になります。早すぎる依頼は逆効果になることもあるため、顧客の信頼を得てから依頼しましょう。紹介報酬などのインセンティブを設定するのも効果的です。
- コミュニティ構築キャンペーン ブランドのコアファンに対して、オンラインイベントやオフラインミートアップへの参加を呼びかけることで、より強固なつながりを生み出します。
リテンション・ロイヤルティ段階のキャンペーン
顧客を「離れないファン」に育てるための施策です。ブランドの価値を深く感じてもらい、長期的な関係を築きます。
- 特典・リワードキャンペーン 上位顧客に対して、特別なオファーや限定特典を提供し、継続的なエンゲージメントを促します。
- ゲーミフィケーション・マイルストーン通知 100回目の注文や目標金額達成など、顧客の節目を祝うメッセージを送ることで達成感を与え、ブランドへの愛着を育てます。
- 年間の振り返り(Year-in-review)キャンペーン 1年間でどのようにブランドと関わってきたかを楽しく振り返ることで、ブランド価値の再確認とエモーショナルなつながりを促します。
- ロイヤルティメンバー向けメッセージ ポイントが一定数に達したり、引き換えのチャンスがあるときにパーソナライズされた通知を送って行動を促しましょう。
ライフサイクルマーケティングと顧客ライフサイクルマネジメントに関するよくある質問
Q:ライフサイクルを意識したマーケティングを行わないとどうなる?
ライフサイクルを考慮した戦略がなければ、次のような負のKPIが生じる可能性があります:
- エンゲージメントの低下
- コンバージョン率の悪化
- リテンション(継続率)の悪化
- 顧客生涯価値(LTV)の減少
Q:CRMとCLMの違いは?
- CRM(Customer Relationship Management) → 顧客情報を一元管理するためのシステムやツールを指すことが多い。顧客理解や1対1の関係構築に活用。
- CLM(Customer Lifecycle Management) → すべての顧客(潜在層も含む)に対して、適切なタイミングで適切な施策を講じ、次のフェーズへ導くことに重点を置いたマーケティングの考え方。
Q:カスタマーライフサイクルの4段階とは?
業界によって多少異なりますが、多くのブランドで以下の4段階に分類されます:
- 認知(Awareness):ブランドや製品を知る段階
- 検討(Consideration):興味や評価を行う段階
- 満足(Satisfaction):初回購入・行動・意思決定の段階
- リテンション・ロイヤルティ(Retention & Loyalty):継続・推奨してくれるファンの段階

将来の見通しに関する記述
このブログ記事には、1995年私募証券訴訟改革法(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)の「セーフハーバー」条項の意味における「将来予想に関する記述」が含まれており、Brazeおよびその製品の性能および期待される利益に関する記述が含まれますが、これらに限定されるものではありません。これらの将来予想に関する記述は、Brazeの現時点における仮定、期待、確信に基づくものであり、実際の結果、業績、成果は、将来予想に関する記述によって明示的または黙示的に示される将来における結果、業績、成果とは大きく異なる可能性のある重大なリスク、不確実性、状況の変化の影響を受けます。Brazeの業績に影響を与えうる潜在的要因の詳細については、2024年12月10日に米国証券取引委員会に提出された2024年10月31日に終了する会計年度のBraze Quarterly Report on Form 10-Q、およびBrazeが米国証券取引委員会に提出したその他の公開書類に記載されています。このブログ記事に含まれる将来の見通しに関する記述は、このブログ記事の日付時点におけるBrazeの見解に過ぎず、Brazeは、法律で義務付けられている場合を除き、これらの将来の見通しに関する記述を更新する義務を負わず、更新する意向もありません。
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