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従来導入していたMAでは、SQLの知識が前提で、マーケティング施策の実行を外部委託せざるを得ませんでした。外部コストが発生するだけでなく、新しい施策実行までに2~3カ月の時間を要していました。また、「売って終わり」から「売った後も価値を提案し続ける」マーケティング戦略への転換にあたり、当社に最適なツールが求められていました。
現在、主に「メール」を通じて、オンボーディング施策、使い方TIPSの配信、満足度調査などを展開しています。重要な点は、お客様が購入していただいた製品を満足していただく前に販促プロモーションを基本的に行わないこと。製品やサービスの理解を深めるためのコンテンツ配信を中心に、お客様満足度の向上を目指しています。
従来のMAと比較して、メールの平均開封率は13%増、70%を達成しました。内製化も進み、新施策実行までの期間を2カ月短縮できました。さらに、満足度調査の結果を踏まえて最適なコンテンツを配信することで、当社の製品やサービスの価値をお客様に提案できるようになりました。
平均メール開封率
マーケティング新施策実行までに要する期間
パイオニア株式会社は、カーエレクトロニクス分野の製品・サービスを中心に展開する電機メーカーです。代表的な製品として、カロッツェリアブランドで知られる累計出荷台数650万台を超えるカーナビ「楽ナビ」やカーオーディオがあげられます。多くのお客様にご愛顧いただき、日本だけでなくグローバルで長年高いシェアを維持しています。
MCCは、コンシューマー向けビジネスの拡大を目指し、2023年1月に新設されたパイオニアの社内カンパニーです。また、2024年4月から事業部やグループ会社ごとに分散していた広義のマーケティングリソースを同事業部に集約し新たなマーケティング組織を立ち上げ、従来の自社起点の「プロダクトアウト」から顧客起点の「マーケットイン」へのマーケティング戦略やコミュニケーション戦略への転換を推進しています。
CMO – 最高マーケティング責任者 兼 モビリティコンシューマーカンパニー マーケティング統括グループ マーケティング推進部長 井上 慎也氏
MCCでは、従来の「売って終わり」のマーケティング戦略から「売った後も価値を提案し続ける」戦略への転換を進めています。施策拡大にあたり、従来導入していたMAを見直した結果、コスト面やグローバル対応機能などを考慮し、Brazeの導入に至りました。
また、従来のMAではマーケティング施策の策定にSQLの知識が必須で、都度外部委託が必要でした。外部委託に頼る体制では委託コストの発生だけではなく、新施策の展開までに2~3カ月もの期間を要します。コスト削減と迅速な施策展開のため、内製化を進めたい、と考えたことも、Brazeへの切り替えを決めた背景の一つです。
Brazeに連携させる基幹システムのデータを絞り込みました。以前は基幹システムの全データをMAに連携、運用していましたが、負荷が大きかったためか、毎日のようにエラーが発生していました。この反省を踏まえ、Brazeへは契約更新日や契約終了日など、契約に関する情報に限定して連携しています。Brazeの安定性と共に、エラーは発生しなくなり、スムーズな運用を実現できています。
主に「メール」を通じて、オンボーディング施策や使い方TIPSの配信、満足度調査などを実施しています。具体的な配信内容としては、オンボーディング施策の場合、サンクスメールから始まり、その後、使い方TIPSを定期的にメール配信しています。
また、Brazeでは基本的に購買プロモーションは実施していません。これは、「お客様理解」と「お客様満足度の向上」をBraze活用、ひいてはマーケティング戦略の最重要課題と捉えているためです。当社の製品やサービスには多くのこだわりが詰まっていますが、当社が提供したい価値やこだわりが、すべてのお客様に必ずしも伝わっているわけではありません。Brazeでのコミュニケーションを通じ、お客様が価値を感じる情報提供に努めることで、継続的に当社と長くお付き合いいただくことにつながるのではないか、と考えています。
MCCマーケティング統括G マーケティング推進部 マーケティングOpsチームCommunication Manager 松山 真由美氏
満足度調査等の結果を踏まえ、お客様にとってより最適なタイミングと内容でコミュニケーションを図れるようになりました。例えば、満足度の低いお客様には改めて使い方TIPSを配信することで、より確実に当社製品・サービスの価値をお届けしています。このような取り組みにより、お客様からは「メールで使い方を説明してくれるので助かる」「これほど手厚くコミュニケーションを取ってくれた会社はパイオニアが初めてだ」といった嬉しい声をいただいています。
その他、副次的な効果として、オンボーディング施策のフィードバックや満足度調査などを通じて、お客様の声の見える化が進みました。お客様の声を社内で共有することで、従業員のモチベーション向上に繋がったり、お客様からのご指摘を販促活動に反映させたりすることもできています。Braze活用による顧客解像度の向上は、当社製品・サービスのシェア拡大に大きく貢献していると考えています。
オンボーディング施策の内容例
製品やサービスによって数値は異なりますが、平均メール開封率は向上しています。例えば、スマート音声ナビなど多彩な機能を搭載したオールインワン車載器「NP1」に関するメールでは、従来のMAの57%から70%へと向上しました。また、ディスプレイオーディオ専用アプリ「PxLink」の開封率も、想定を上回る高い数値を達成しました。
開封率向上の背景には、Brazeの機能を活用し、顧客の関心が高いタイミングでメール配信ができていることや、お客様にとって本当に役立つ情報を提供できていることなどが考えられます。平均メール開封率の高さは、当社が伝えたかった価値やこだわりがより多くのお客様に伝わっていることを意味します。お客様満足度の向上にBrazeが寄与していることは間違いありません。
その他、SQLの知識がなくても新施策の策定が可能になり、外部委託の必要がなくなりました。これにより、施策実行までの期間が従来の2~3カ月から1~2週間へと大幅に短縮されました。内製化も進み、例えば従来は外部デザイナーを含む10人体制で対応していたコンテンツ・シナリオ制作を、現在は担当の私とIT部門の2人によるサポートで完結できるようになっています。
「PxLink」に関するTips例
Braze導入によって内製化が進み、迅速な新施策実行が可能になりました。今後は、内製化をさらに加速させ、PDCAサイクルをより迅速に回せる体制を構築していきます。また、海外展開している製品・サービスについては、対応言語やタイムゾーンの拡充を図る予定です。
Braze活用はあくまで手段であり、目的ではありません。「お客様理解」と「お客様満足度の向上」という目的達成に貢献できるのであれば、Brazeの強みであるパーソナライズされたコミュニケーションに本格的に着手したいと考えています。
Brazeの導入により、すでに高水準だった平均メール開封率がさらに13%向上しました。内製化も進み、より効果的なマーケティング施策を実行できる体制が整いつつあります。今後は、お客様一人ひとりの状況に合わせたパーソナライズされたコミュニケーションを視野に入れ、引き続きお客様満足度の向上を目指します。
「メール」を活用し、オンボーディング施策や使い方TIPSの配信等を実施。その結果、平均メール開封率は従来のCRMと比較して13%増の70%を達成しました。これにより、パイオニアがマーケティング戦略で最も重要視する「お客様理解」と「お客様満足度の向上」が促進されています。