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大阪初開催!イベント開催レポート「変化を先取りする力:消費者動向とCX戦略の最前線 in 大阪」

公開 2025年7月10日/更新 2025年7月10日/25 分で確認

大阪初開催!イベント開催レポート「変化を先取りする力:消費者動向とCX戦略の最前線 in 大阪」
作成者
Team Braze

2025年6月25日(水)、マーケティングと顧客体験の最前線をテーマとしたBraze株式会社主催イベント「変化を先取りする力:消費者動向とCX戦略の最前線 in 大阪」をW大阪で開催しました。

関西エリアを中心に、製造業、EC、広告メディアなど多種多様な業界のリーディングカンパニーからマーケティング、DX、IT部門のキーパーソン 約200名の申し込みをいただき、データとテクノロジーを活用した顧客体験の取り組みや最新の消費者動向など、企業が進化していくための実行ステップについても議論が行われ、参加者の関心を寄せていました。

参加者からは「AIエージェントとの“日常会話”が消費行動の起点になる、という考え方は、商品開発や広告のあり方に直結すると思いました。」「リアルタイムの接客体験をアプリでどう実現するか、実例を交えたマーケティング戦略など、具体的な話がとても参考になりました。」といった声が寄せられ、企業間の垣根を越え熱気溢れる交流の場になりました。

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#オープニング:Brazeが語る最新マーケティングの潮流

Braze株式会社 代表取締役社長 水谷のオープニングからスタートしました。日本法人5年目を迎え、年平均成長率212%、月間2.7億人以上に顧客体験を届けるプラットフォームへと進化するBrazeの歩みを紹介しながら、日本市場におけるエンゲージメント変革の“現在地”と“未来像”を示しました。

冒頭で語られたのは、一貫性のない、関係のないメッセージによってユーザーが感じる「ざんねんな体験」の実態です。マーケター自身も消費者として、同様体験があり、調査によると72%のユーザーがざんねんな体験でブランド乗り換えを検討。その一方で、自分を理解してくれるブランドへのロイヤリティは67%と高く、“一人ひとりを理解したコミュニケーション”が解決の分岐点になると強調しました。

顧客体験の分断は、システム・データ・組織が“チャネル起点”で設計されてきたことに起因します。多くの現場では、メールやアプリ、LINEなどチャネルごとにKPIが設定され、過剰な配信が生まれ、結果として顧客視点を欠いた体験が量産がされる。マーケターはこのサイロ構造の中で、人力でデータとコンテンツを結びつける間接業務に強いられ、創造的な仕事に十分な時間を割けないという現状が語られました。

Brazeが提案するのは、行動データや文脈に基づいて、“顧客の望む瞬間”に“望むチャネル”で“最適な内容”を届けるという、顧客中心のエンゲージメント体験です。これは単なるチャネル統合ではなく、「顧客の状態をリアルタイムで捉え、即応する」次世代型のアーキテクチャが不可欠です。

Brazeが描くのは、“配信”から“共鳴”へと進化するエンゲージメント、本日のイベントを通じてその実践的なヒントを持ち帰って欲しいと熱く語りました。

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Braze株式会社 代表取締役社長 水谷 篤尚

#未来の購買体験 ─ AIエージェントとともに進化する生活者行動

博報堂 買物研究所の飯島氏は、生成AIとAIエージェントが生活者の購買行動に及ぼす影響について、生活者の価値観・行動の変化と、それに応えるコミュニケーション設計の変遷を解説し、未来予測に基づく新たな購買行動モデル「DREAM」を紹介しました。

生成AIの進化により、検索・比較・購入といった“点”の行動が、AIエージェントとの対話によって“面”としてつながり始めています。飯島氏は、特に、AIやIoTの発展により「モノの消費」から「コト・体験の共有」へと価値がシフトし、生活者が「AIエージェント」との会話を通じて包括的に買物体験を得る未来について調査を交えて紹介しました。

調査では、生活者の約26%がすでに日常生活で生成AIを活用しており、「検索」や「アイデアの発想補助」といった用途での利用が拡がっています。従来のAIDMAやAISASモデルに代わる、未来の購買行動モデルとして紹介されたのが「DREAM」です。以下の5つの要素から構成されます。

  • D = Dialogue(対話):日常の中でAIエージェントと対話を重ね、潜在ニーズに気づく
  • R = Recommended(推奨される):エージェントからの提案を受け取り、自分なりの選択をする
  • E = Experience(体験):バーチャルやリアルでの商品体験を通じて確信を得る
  • A = Assurance(確信・承認):納得感のある選択に基づいて購買を決断
  • M = Management(管理):購入後の情報管理・アフターフォローまでエージェントが支援

特に、購買体験の“全体最適”を見据えた「DREAMモデル」は、今後のブランド戦略・製品設計・顧客接点の設計に大きな示唆を与えるものでした。

企業は“データを活用して製品やサービスを文脈の中に位置づける”視点が求められているというメッセージに、多くの参加者が頷いていました。

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株式会社 博報堂 博報堂買物研究所 研究員 飯島 拓海 氏

#イオンモールの挑戦:Braze活用で実現するリアル店舗のDX戦略

イオンモール株式会社の木村氏と清水氏は、「イオンモールの挑戦:Braze活用で実現するリアル店舗のDX戦略」と題し、同社が進めるデータドリブンな顧客体験向上の取り組みについて紹介しました。

同社のビジネスモデルは、専門店からの賃料収入を主軸としており、直接お客様と接点を持ちづらいという構造的課題があります。これに対し、スマートフォンアプリを起点としたデジタル接点の拡充により、来館者一人ひとりを理解し、より質の高い体験を提供することに注力しています。

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イオンモール株式会社 営業統括部 マーケティング部 マーケティンググループ マネージャー 木村 鷹 氏

またPOSデータといった「経済データ」だけでは顧客像を十分に捉えることはできません。来館前後の行動や、選択の背景にある心理、つまり「なぜこのモールを選んだのか?」を読み解くことが不可欠であると木村氏は語ります。

特に強調されたのがリアルタイム性の価値です。滞在時間が長いショッピングモールでは、その場その時に応じた情報提供が体験価値を大きく左右します。

モールでの取り組みでは、ジオフェンスを活用し、イベント対象店舗周辺を訪れたお客様に来館中にPush通知を配信。従来の一斉配信と比較して開封率が約3倍に向上した事例も共有され、リアル空間における“その場”の文脈を捉えたメッセージの重要性を示しました。

清水氏は「イオンモールではこれまで、売上・客数・商圏構成など、いわゆる「経済」データを中心に顧客分析を行ってきました。しかし、”なぜ来店したのか” 、”なぜ来店しないのか”といった顧客心理の背景については把握が難しく、現場での具体的な改善につながりにくいという課題を抱えていました。」と同社が抱える課題について触れ、こうした中、ECやレジャーなど多様な選択肢がある中でイオンモールを選んでもらうためには、短期的な売上指標だけでなく、長期的な関係性を築く“ロイヤルティの可視化”が不可欠との認識から、新たな取り組みがスタートしたと紹介しました。

自社アプリとBrazeを活用し、お客様自身の声を起点とした調査を実施。購買データでは見えない“体験価値”への満足・不満・期待を把握することで、マーケティングや施設運営の改善アクションに活かされています。

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イオンモール株式会社 営業統括部 マーケティング部 マーケティンググループ 清水 瞳 氏

顧客接点の中心であるスマートフォンアプリを軸に、個々のニーズに応じたパーソナライズ施策の強化とリテールメディア化を推進。データの資産化・リアルタイム活用・体験価値の最適化という3つの軸で、“来場する場”から“関係を深める場”へと進化するショッピングモールの未来像は、リアル店舗のCXにおける新たなロールモデルとして関心を集めていました。

#Braze:信頼を軸に進化する顧客エンゲージメント

後半のセッションはBraze 日本市場製品責任者の新田より、現代のビジネス環境下でブランドが持続的な成長を遂げるために不可欠となった「顧客エンゲージメント」の本質の問いかけから始まりました。

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Braze株式会社 日本市場製品責任者 新田 達也

「顧客エンゲージメント」とは、企業と顧客との間に築かれる双方向の信頼関係です。企業視点では顧客との長期的な関係維持、顧客視点ではブランドへの共感・積極的な関与という形で表れます。

この「信頼」を軸とするエンゲージメント戦略は、顧客体験の良し悪しに大きく依存しています。Brazeが毎年発行するレポート「Customer Engagement Review 2025」からは、次の3つのトレンドが浮かび上がっています。

1. 透明性を通じて信頼を創る

顧客は自分のデータがどう使われているかに敏感になっています。43%が「同意に不安を感じる」と答えており、企業側には明確な説明と価値提供が求められています。金銭的価値、時間的効率性、自己実現など、段階的な価値提示がデータ共有を促す鍵になります。

2. 「何を」だけでなく「いつ・どこで・どう届けるか」

メディアは単なる手段ではなく、メッセージの一部であるという認識を持つべきです。BrazeはLINEやアプリ、メール、Webなど、マルチチャネルかつパーソナライズされた顧客体験の提供ができます。昨年、LINE公式アカウントでのOne to One配信も正式に対応し、より柔軟なパーソナライゼーションを実現しています。

3. AIでスピードと精度を両立

AIはマーケティング施策の効率化と高度化の両立に貢献しています。Brazeでは、

① 創る - 生成AIの活用

② パーソナライズ - 顧客を理解・期待に応える体験の提供

③ 最適化する - 最適化による成果の最大化という3ステップで人間的なつながり×テクノロジーの融合を具現化していきます。

“何を届けるか”ではなく、“どう共鳴を生むか”。信頼をベースに設計されたエンゲージメント戦略は、顧客体験を進化させ、ビジネスの成長を支える武器になります。

最後にBrazeを導入いただいているコスモ石油様の先進的な取り組みも紹介されました。

従来、同社ではアプリをインストールしているお客様に対して決まった内容でメッセージを配信する運用が中心でしたが、Brazeの導入によって、顧客の行動履歴や過去の利用状況に基づいたパーソナライズ配信が可能となりました。

特に印象的だったのは、ガソリンスタンド来店時のリアルタイムな対応です。

来店車両のナンバープレートを認識するシステムとBrazeを連携させることで、その場で顧客情報と照合し、たとえば過去に車検をご利用いただいていないお客様に対しては、車検キャンペーンのお知らせを即時に配信するなど、その瞬間のニーズに応じたコミュニケーションを実現しています。

このように、リアルタイム性とパーソナライズの掛け合わせによって、顧客体験の向上とビジネス成果の両立を図る取り組みとして、多くの参加者の関心を集めていました。

#パネルディスカッション:OMO時代の外食(中食)&レジャー体験 〜データとリアルの融合が描く顧客戦略の未来〜

最後のプログラムとして実施されたパネルディスカッションは、モデレーターをBraze 石本が務め、ほっかほっか亭総本部 築山氏、湯快リゾート株式会社 梅村氏をゲストにお迎えし「OMO時代の外食(中食)&レジャー体験」をテーマに各社から具体的な施策や今後の展望を紹介しました。

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【パネラー】(右) 株式会社ほっかほっか亭総本部 経営企画本部 マーケティング部 IT課 課長 築山 信也 氏 / (中央)湯快リゾート株式会社 マーケティング本部 マーケティング部 CRM課 課長 梅村 洋介 氏
【モデレーター】(左)Braze株式会社 シニアカスタマーサクセスマネージャー 石本 恭久

🔳デジタル投資の効果と価値

石本:

まず初めに、皆さまの現場で「デジタルへの投資」はどのような意味を持っていますか?最初にほっかほっか亭総本部 築山様にお聞きします。

貴社は店頭とモバイルオーダーからの注文があると思いますが、その中で顧客のエンゲージメント、または店舗運営の中でデジタルに投資することに価値(効果)がある部分を教えてください。

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築山氏:

ほっかほっか亭は「お弁当」という日常的に買うものということもあり、今までは紙を使った施策が大半を占めていました。

最近の出来事ではお米が急に上がって「すぐに値段を変えたい」ということがありました。紙の場合はすぐに変更はできませんが、デジタルではすぐに対応できますので効果的だと思いました。

またデジタルの利点は「顧客行動を可視化できること」ですね。紙による販促では、誰が実際に来店し購入頂けたのかを把握できない状況でしたが、デジタルでは購買データと連動し来店まで追えますので成果が見えやすくなりました。逆にそこまでしないとデジタルの効果は意味がないと思います。

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石本:

有難うございます。その中でデジタルに取り組むきっかけについて教えてください。

築山氏:

そうですね。お米とか外的要因もありますが、内的なところも急に対応が必要な時もあります。外的、内的要因の両面からデジタルに取り組むきっかけになりました。また当社は他社に比べてかなり高齢の方も働いていますので、デジタルで出来るところと出来ないところの切り分けは必要だと感じています。

石本:

有難うございます。Brazeを活用した新規またはリピーターへの施策についても教えてください。

築山氏:

当社ではBrazeを活用したセグメント配信によって、「一度来店したがしばらく来店が無い方」への再来店促進施策を展開しています。従来の販促手法では接点を持てなかった層に対しても、パーソナライズされたメッセージ配信により着実にリピーター化を促す効果が見られました。特に「よく食べてくれる」「繰り返し利用してくれる」顧客の来店頻度向上が確認されており、地道な施策が成果を生み始めている。と感じています。

石本:

続きまして湯快リゾートの梅村様に「デジタル投資の価値」についてお伺いします。

梅村氏:

当社はホテル事業というリアル接点が中心の業態ですが、効果はあると思っています。宿泊体験の質を高める目的で自動精算機の導入を推進しています。背景には、チェックアウト時の混雑による顧客満足度の低下と、現場の人的リソース不足という課題がありました。まずは湯快リゾートで先行導入を行った結果、スタッフが観光案内など「本質的なおもてなし」に時間を割けるようになり、CX(顧客体験)の質を高める好循環が生まれています。デジタル投資が単なる業務効率化ではなく、体験価値の向上にも直結し、従業員の満足度も上がったと自負しています。

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■ 顧客データをどうマーケティングに活かすか?

湯快リゾート 梅村氏からBrazeを活用したCRM施策として、主に「次回予約の促進」を目的とした2つの取り組みを紹介しました。

梅村氏:

まず1つ目は、「会員ランクアップ通知の配信」です。同社の会員システムでは、宿泊履歴に応じて顧客のランクが変動しますが、そのタイミングにあわせて、特典内容の変更とともにランクアップをお知らせするメールを配信。これにより、お客様への新たな価値提供と再来訪を促進しています。実際に、ランクの高い顧客ほど宿泊頻度が高くなる傾向が見られました。

2つ目は、「宿泊翌日のクーポン配信施策」です。宿泊翌日に感謝の気持ちを込めたお礼メールとともに、次回来館時に使用可能なディスカウントクーポンを配布。この施策は、あらかじめ仮説ベースで有効な期間を設定し、PDCAを回しながら最適な配信タイミングを見極めていくことで、LTVの向上につなげています。

また、これらの施策はマーケティング部門が中心となって検討・実行していますが、部署を横断した協力や、外部パートナーからの知見も柔軟に取り入れながら進めていると語りました。

石本:

続きましてほっかほっか亭総本部の築山様に伺います。

POSデータや会員情報を使ってマーケット戦略を考えられているかと思いますが、いかがでしょうか。

築山氏:

従来からPOSデータの取得は可能であったものの、個々の購買データの蓄積や分析は十分に行えていませんでした。これを受けて、自社アプリおよびポイントプログラムを立ち上げ、顧客情報の収集と分析基盤の整備を進めています。

ポイントプログラムには、ユニークなネーミングとして「小盛」「普通盛」「大盛」など、弁当ブランドならではのユーモアを盛り込んで設計されており、社内外でさまざまな意見があったものの、同社らしい施策として導入に踏み切ったと述べました。

また、年配のお客様が多いという業態特性を踏まえ、店頭での声がけや接客といったリアルの顧客接点を活かしつつ、デジタル施策でも同様の“個別対応”を再現していきたい。今後は、取得した顧客データを活用しながら、大がかりな施策ではなくとも、小さな One to Oneコミュニケーションを積み重ねていくCRM施策に注力していく方針であると、今後について示しました。

🔳ロイヤル顧客の育成・リピーター獲得戦略とBraze活用について

石本:

3つ目の質問ですが、ロイヤルティ強化・リピーター育成の考え方についてお聞かせください。

築山氏:

まず、One to One コミュニケーションの実現を重視されており、「性別や年代、購買傾向の異なるお客様それぞれに最適なメッセージを届けるためには、顧客情報の蓄積が不可欠」と述べました。

その一環として、ポイントプログラム「ほっかポイント」を導入。楽天ポイントやdポイントといった共通ポイントに加え、より詳細な購買データを取得し、自社分析を進める体制を整えています。ただし、共通ポイントの利用率は約3割にとどまっており、「ポイントカードを提示しない・現金派」の顧客層へのリーチが課題です。

また、デジタルが通じにくい地域や年代への配慮も重要であるとし、「紙とデジタルをどう共存させていくかが今後の鍵になる」と語り、地域性を踏まえた柔軟なアプローチの必要性に触れました。

加えて、自社の認知度向上に向けたSNS活用の可能性にも言及。「テレビCMにはコストの限界があるが、SNSは比較的安価に認知拡大ができる。」と、遊び心を交えた取り組みを紹介しました。

最後に、Brazeを使ったコミュニケーション設計について、メッセージ文面は社内でメンバーが手作業で作成しており、「あえてAIっぽさを排除して、人の温度感が伝わる表現にしている」とのこと。時折“文字化け”が生じることもあるものの、「それもまた“ほっかほっか亭らしさ”として楽しんでいる」と、ブランドの親しみやすさを大切にした運用姿勢について語りました。

石本:

有難うございます。湯快リゾートの梅村様からもロイヤルティ強化・リピーター育成の考え方についてお聞かせください。

梅村氏:

大きな動きとしては、「湯快リゾート」と「大江戸温泉物語」のブランド統合がありました。この統合により、両社が保有していた異なる顧客データ基盤の統合と、それを活用した施策の共通化が喫緊の課題となっており、「もともと湯快リゾートで展開していた One to Oneコミュニケーションを、グループ全体で実現していくことが今後の大方針」と語りました。

具体的なCRM戦略上の課題としては、以下の5点を挙げています。

  1. メルマガ偏重のコミュニケーション構造LINEなどのチャネル拡充を進め、顧客の行動に応じた適切なチャネル選択を行いたい。
  2. LTVを高めるプログラムの開発ポイントやクーポンといったインセンティブによる施策が中心であるため、心理的ロイヤリティの醸成につながるプログラム開発が今後の焦点。
  3. 組織横断でのリピーター促進活動の未整備「現場と本部がしっかり連携し、リピーター施策を会社全体のテーマとして取り組むことが重要」、社内の意識共有の徹底を進めている。
  4. 会員獲得・コミュニケーション対象者数の拡大現場スタッフによる接客時の会員登録促進の強化や、インセンティブ施策の見直しなど、ファーストタッチでのエンゲージメントを高める工夫を進めている。
  5. 蓄積されたデータの分析・活用体制の整備今後はデータの可視化や施策への反映といった「データ→行動」への橋渡しとなる仕組みの整備を順次進行する。

また、チャネル戦略としては「LINE活用」に注目。「理想としてはリッチメニューのパーソナライズ化や、メッセージ内容そのもののパーソナライズを進めたい」と語り、顧客一人ひとりの状態に応じた情報提供の重要性を強調しました。

■ OMO時代のリアル接点とデジタルの融合とは?

石本:

それでは4つ目の質問です。リアルとデジタルの接点をどのように設計していますか?

梅村氏:

具体的な施策の1つとして週末限定の空室情報を案内するメールを配信しています。空室状況と顧客の行動履歴をリアルタイムに掛け合わせたセグメント抽出により、反応率の高いターゲットに的確なオファーを届けることで、稼働率の最大化と売上向上を両立しています。

工夫しているポイントは手動でやっていましたが、Brazeを使って外部データを取り込み、半自動化まで作業の効率化を進めました。

またCRM課の顧客接点としては、旅前・旅中・旅後の3つに区分できます。旅前と旅後についてはBrazeを活用したパーソナライズ施策など様々な打ち手を実行しています。理想はリアルタイムのデータを使いたいと考えていますが、開発コストなどの要因から旅中はまだ実行できておりませんが、お客様の体験価値向上の観点からも今後検討したいと語りました。

石本:

有難うございました。ほっかほっか亭総本部の築山様はいかがでしょうか。

築山氏:

お花見シーズンに合わせた位置情報を活用したキャンペーン(私を花見に連れてって)でのPush通知施策を実施しました。LPページはStudio(ノーコードWeb制作プラットフォーム)で内製しており、費用はかかっていない、Brazeと言えば位置情報と話し、バーガーキングの海外事例についても触れています。

同キャンペーンはアプリユーザーのうち、花見スポット周辺の公園にいる顧客をリアルタイムで検知し、「近くの店舗で手軽にお弁当を購入できる」旨のメッセージを配信しました。実装についてはBrazeに質問しながら半月ほどで実装したと説明。今年の夏は花火でも仕掛けたいとジオフェンスなど面白いことに積極的に取り組む姿勢を示しました。

また同社は大阪の万博に出店、万博全体にジオフェンスを張っていると最新の事例を紹介し、季節・場所・行動を組み合わせた文脈に即した訴求により、来店誘導効果を実現しています。

■ AIの活用とこれからの展望

石本:

それでは次の質問ですが、AIの利活用について、現状や今後の展望を教えてください。

築山氏:

私自身がエンジニアということもあり、AI自体のコードもかけます。AIはまだ使う人を越えられないとも話し、今後やりたいこととして他社の事例をあげながら「ホームページのデザイン、テキストを作ることも目指したい。また今後はAIを使いこなすためにも自分のスキルをあげたい。雑務はAI、本来の仕事に集中することも大事ですね。」

石本:

前のセッションでAI機能についても紹介がありましたが、気になる機能はありましたか?

築山氏:

インテリジェントタイミングの機能は使ってみたいです。お弁当という特性上、どの時間にPushしたら見てくれるのか?を、勘ではなく、AIを使いたいと思っています。

石本:

湯快リゾート様のAIの利活用について、現状や今後の展望を教えてください。

梅村氏:

AIについては、公式サイト上ではChat Botを活用しています。まずBrazeで配信するメールの原稿作成時に生成系AIを用いており、業務で使えるところには積極的にAIを活用しています。今後はリピーター向けの自動チェックインなど、施設の混み合う時間帯は前もってお客様にご案内することに活用したい。我々のビジネスモデルとして無駄なところを排除し、より“攻め”の活用に広げていきたい。とAIの活用方針について語りました。

業種は異なりながらも、リアルとデジタルの融合、CRM活用、AIの活用など、多岐にわたるテーマで対談が行われ、「顧客を深く理解し、的確なタイミングで価値を届ける」という方向性において、両社の取り組みは共通していました。

#最後に

すべてのセッション終了後には、ネットワーキングが開催されました。業種・業態の垣根を越えて、同じ課題や目標を持つマーケター・DX推進担当者同士が情報交換を行う貴重な機会となり、リアルイベントならではの活発な交流が生まれました。

本イベントを通じて一貫して語られたのは、「顧客を深く理解し、最適な体験をリアルタイムで届けること」の重要性です。

そして、それぞれの取り組みの中心には、“顧客を起点に考える”という共通の思想が流れ、盛会のうちに終了しました。

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