公開 2025年5月16日/更新 2025年5月16日/10 分で確認
彦坂 大学時代、バックパッカーとして旅したことがきっかけで、世界の中での自分や日本という国の存在を客観的に見るようになりました。その後、1年間休学し、バンコクの不動産会社でインターン、インドへのIT留学、ベトナムのIT企業でインターンを経験しましたが、原点はインドへのIT留学です。現地でプログラミングを学びながらテクノロジーに大きな可能性を感じ、在学中からWebアプリの開発、YouTuber、ブロガーとしてコンテンツづくり、情報発信を行うようになります。
彦坂 1人の学生の発信でも、国境を越えてたくさんの人の目にふれ、行動変容を起こすきっかけになり得るところですね。そこから「グローバル×ものづくり」でインパクトを与えたいと考え、BtoCのサービスを提供していて、テクノロジーに強く、世界を意識したものづくりができそうな会社を探し、新卒でサイバーエージェントへ入社、という流れです。かなり「鼻息の荒い学生」(笑)だったので、入社して数年で事業責任者になれる可能性があるかも会社を選ぶポイントでした。
彦坂 エンジニアとしてキャリアを追究する選択肢もありましたが、コンテンツやプロダクトで大衆心理を動かし、社会に新しい価値を提供する最前線に身を置きたいと考えていました。もともと好奇心は旺盛だったので、広い視野でテクノロジーとビジネスをつなぎ、いろんな挑戦ができるプロダクトマネージャーを希望しました。
彦坂 以前のWebマーケティングは、大衆向けに最大公約数を狙ったアプローチが中心でしたが、テクノロジーの進化により、今はパーソナライズされたコミュニケーションが前提になっていると感じています。オンラインであっても、オフラインのように顧客一人ひとりの感情に訴える、きめ細かな施策が求められているのではないでしょうか。
彦坂 顧客の感情的なエモーショナルな部分に寄り添えるかが、成否を分ける要因になっていると思います。Webサービスの場合、プロダクト開発もコミュニケーションもデータが収集できるからこそ、ロジカルかつ効率性重視になりがちですが、そのサービスが「自分に向き合ってくれている」と顧客が感じられる体験をつくり出せるか。Amebaブログの場合、運営ノウハウを提供するより、季節の挨拶やブロガーを励ますコンテンツのほうが、より良い反応が得られる傾向があります。なんとなく愛着がわく、かわいい、クスッと笑ってしまう。そんなふうに感情を動かすことで、顧客との心理的距離を詰める施策が必要です。
彦坂 例えばニックネームでの呼びかけ、居住地域や属性情報の活用など、パーソナライズされたコミュニケーションは重要です。ただ、データをもとにしたロジカルな意思決定だけでは、顧客にエモーショナルな体験を提供するのは難しいとも感じます。オフラインの店舗で「また来たい」と感じるポイントは人によって異なります。データによる最適化+情緒的なコミュニケーションで、深く細かい粒度のパーソナライズを実現できるかが差別化要因になるはずです。
彦坂 顧客解像度を高めるため、リアルな生の声に接することを意識しています。具体的には、ターゲットのF2層が集まる場所に足を運び、会話し、ヒアリングを行うこと。そこで得た解像度の高い情報を開発チームのメンバーと共有し、チーム全体の顧客理解を深めるようにしています。ヒアリングに関しては、独自のパートナー制度のようなものをつくり、公式LINEでつながっているブロガーさんを相手に月1回は必ず。そんな窓口を用意して、顧客と一緒にプロダクトやコンテンツをつくる、というところは徹底してやっていますね。プッシュ通知の施策を1つ実行するにしても、顧客の生の声に接しているかどうかで精度は変わってくるでしょう。
彦坂 打席と打率は常に頭に置いています。積極的に多くの施策を実行することで打席数を増やし、データ分析やプロダクト利用状況の分析、そして顧客体験全体を俯瞰的に見る視点を持ち、施策の成功率、つまり打率を高めることが重要です。以前は毎日必ず、新しい施策を1つ以上実行していました。1つでも多くの打席に立ち、結果を分析していけば、それに比例して打率は上がるという実感があります。
彦坂 自分の場合「世の中でうまくいっている事例×自社データ×自分が持っている顧客解像度」、3つの掛け算で打率を上げることを意識していますね。施策を打った後での振り返りに関して、単にデータを見るのではなく、持っている顧客解像度の粒度により、視点の広さと深さが変わってきます。粒度が細かいほうがいろんな角度からデータを見られるし、気づきも多くなるもの。データと顧客解像度をセットで深掘りすることで、打率を上げられると思います。
彦坂 データ時代の顧客体験づくりにおいて、非常に重要な役割を担うと思います。パーソナライズ体験を自社サービスで提供しようとすると、莫大な開発コストがかかるため、Brazeのようなツールを使うのは賢明な判断といえるでしょう。以前、パーソナライズが十分ではなかった頃、私が責任者を務めたグロースハックグルーブでBrazeを導入し、プッシュ通知の完全なパーソナライズと自動化に取り組みました。結果、DAU増加と運用コスト削減につながり、有効性を実感しました
彦坂 顧客とのエンゲージメントを高めるキャンペーン、過去に実施した施策の自動化など、売上増と工数削減につながる部分は継続して行っています。プロダクトマネージャー目線だと、プロダクト開発の生産性向上にもBrazeは欠かせません。例えば、Amebaブログのアクセス数などを解析する機能ついて、この解析指標を追加したらどうか、という仮説があったとします。けっこうな工数がかかる作業ですが、Brazeで仮説検証を行うことで、工数を削減しながら意思決定の精度を高められると感じています。
彦坂 ファクトであるデータと、顧客に寄り添って高めた解像度をかけ合わせ、意思決定する必要があると思います。私の場合、日々いろんなデータにふれていますが、情緒的な部分を含めて顧客解像度をアップデートすることで、データの扱い方、切り口の幅はどんどん広がっています。チームや経営層を動かす際、データだけでロジカルに説明しても届きにくいもの。逆に顧客の声や行動だけだとエビデンスが乏しく感じられます。データと顧客解像度が両輪となり、補完し合うことで説得力ある言葉が生まれるのではないでしょうか。両方の視点がプロダクトマネージャーには必要だと思います。
彦坂 そうですね。収集したデータをBrazeで試すと、すぐにフィードバックが受けられるので、アイデアをアウトプットして、反応を見ながら改善していくサイクルをまわしやすくなると思います。
彦坂 現在の大きな課題は、パーソナライズ施策に対しての顧客の反応が薄くなってきていること。単なるパーソナライズにとどまらず、ゲーミフィケーションやクイズコンテンツなど、顧客が楽しみながら参加できる体験づくりに注力しています。また、DOTというポイントやデジタルギフトを活用したロイヤルティ課題の解決を行うプロダクトも担当しており、そこでいろんな仕掛けをしていきたいですね。ポイントやデジタルギフト×ハイパーパーソナライズ×クリエイティブで中長期的なエンゲージメントを高め、「Wow」な体験創造領域でNo.1を目指しています。プロダクトマネージャー、CRM担当として培ってきた顧客体験づくりの経験をベースに、ポイント、ギフト、ゲーミフィケーションなどの要素をかけ合わせ、新しいキャンペーン事例、プロダクトグロースの事例をつくりたい。波に乗るのではなく自ら波を起こし、そこで第一人者として認められる存在になりたいですね。
Brazeの最新情報を定期的にお届け