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Brazeのブランド刷新における技術的な取り組み

公開 2025年5月09日/更新 2025年5月09日/9 分で確認

Brazeのブランド刷新における技術的な取り組み
作成者
Jucelle Lim
Staff Product Designer, Braze

Brazeでは、「変革」は単なる流行語ではなく、私たちのDNAに深く根付いています。2024年冬に新しいブランドアイデンティティを発表したことは、私たちが世界に向けて自分たちをどのように表現していくかにおいて、大きな進化の一歩となりました。色使いの刷新や、よりモダンで人間味のあるデザインを取り入れるなど、この包括的なブランドアップデートは、お客様とのエンゲージメントの最前線に立ち続けるという私たちの姿勢を体現しています。

しかし、このリニューアルはマーケティング資料にとどまらず、Brazeのプラットフォームやダッシュボード、技術基盤全体にまで広がる、大規模なプロジェクトの始まりでもありました。

ブランド刷新とBrazeプロダクトとの関係性

Brazeではこれまでも、製品体験をさらに向上させることを目的に、継続的なプロダクト開発とイノベーションを重ねてきました。2019年から2022年にかけて、プロダクトデザインチームを含むPDE組織(Product, Design, Engineering)は、Brazeの製品のビジュアルアイデンティティを見直すプロジェクトを開始し、「Beaconデザインシステム」を開発しました。

この取り組みにより、Brazeプラットフォームのユーザーインターフェースはより洗練され、使いやすくなりましたが、当時はまだ、ブランドの基本理念とプロダクトデザインの方向性を一致させたり、Brazeのブランドを製品全体に深く統合するところまでは至っていませんでした。

このたびのブランド刷新によって、そうした課題に正面から取り組み、Brazeというブランドが持つ価値観をプロダクトの隅々にまで反映させる新たなチャレンジが始まったのです。

a collage of images including one that says inspiration guide

Brazeの2024年ブランド刷新は、単なる見た目の変更ではない

2024年に行われたブランド刷新は、BrazeのWebサイトやマーケティング資料の見た目を新しくするだけの取り組みではありませんでした。それは、顧客体験全体をより高めていくための、より広範なイニシアチブでした。その中には、Brazeのプラットフォーム自体も含まれており、プロダクトデザインとエンジニアリングのチームが、新しいビジュアルアイデンティティと一貫した形でプラットフォームを再設計する機会となりました。これにより、現代のマーケターにとって使いやすく、直感的で、アクセスしやすい体験を維持することが可能になりました。

Brazeのエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター、Greg Erdelyiは、「この刷新は、Brazeの卓越性を“表現”することが目的だった」と述べており、私たちはその哲学を真摯に受け止めました。このプロジェクトは、ブランドが持つ感情的な共鳴と、プロダクトが持つ機能的な優秀性を統合するチャンスでもありました。その成果は、Brazeプラットフォームの進化における重要な節目となり、ブランドと技術の両面をつなぐ一体感を実現しました。

なぜBrazeプラットフォームの刷新も必要だったのか

この包括的なブランド刷新を行った背景には、Brazeがカスタマーエンゲージメント領域で市場のリーダーであることを、マーケティング面だけでなく、Braze製品自体からも体現する必要があるという戦略的な判断がありました。この刷新は見た目を変えるだけではなく、Brazeが提供する「プレミアムな価値」を、ユーザーがプラットフォームを使う中で自然と感じられるようにし、効果的なナビゲーションとユーザービリティの向上を実現することが目的でした。

ブランド刷新が組織の目標とどう一致しているのか

  • 市場でのリーダーシップ強化:今回の取り組みは、Brazeが顧客のために継続的にプラットフォームを革新し続け、上質なユーザー体験を提供していることを示すものです。
  • ユーザー体験の向上:アクセシビリティ、使いやすさ、全体的な機能性の改善が図られました。
  • 一貫したブランド体験の創出:Braze.comからBrazeダッシュボードに至るまで、すべての接点においてシームレスな体験を提供することが目標でした。

プロダクトデザインマネージャーのRafaella Studartは、「このプロジェクトは、顧客にとってシームレスで一貫性のある体験を創るチャンスだと捉えました。Webサイトを訪れる瞬間から製品を使うまで、すべてがつながっていると感じられるべきだと思っています」と語っています。

デザイン戦略を主導する

ブランド刷新の実現には、プロダクトデザイン、ブランド、エンジニアリングの各チームが密に連携する必要がありました。その中でも、Braze製品全体にわたるブランド戦略の適用においては、プロダクトデザインチームが中心的な役割を担いました。このプロセスでは、各チームがそれぞれの視点からビジョンの形成と実行に貢献しました。主な取り組みは以下のとおりです:

  • デザインワークショップ:ブランド戦略の発表後、プロダクトチームとブランドチームのデザイナーが集まり、2日間にわたるワークショップを開催。プロダクト刷新に向けた共通の原則を定めることで、創造的なビジョンと実用的な要件のバランスを取る基盤が築かれました。
  • 初期段階でのスコープ設定と連携:デザイナーとエンジニアが協力して、さまざまなアプローチの影響範囲を評価し、実現可能な次のステップを導き出しました。

ビジョンと実用性のバランス:ブランドチームが開発した大胆で魅力的なビジュアル要素を、UXチームがプラットフォーム上で再現・最適化。色の調整やアクセシビリティの確保など、実際の使用を見据えた改良も加えられました。

a bunch of papers sitting on top of each other on a pink background .a bunch of papers with different colors and graphs on them on a purple background .

ビジョンを共有し、共感を得ること

大規模なローンチには常に、効果的かつスムーズな展開を実現するためのチーム間の緊密な連携が不可欠です。今回のブランド刷新においても例外ではありませんでした。

まず、マーケティングチームがブランド戦略全体を策定し、ビジュアルスタイルやクリエイティブアセットを開発して、刷新プロジェクトの基盤を構築。そしてプロダクトデザインチームはその取り組みをさらに発展させ、Braze製品に最適化されたかたちでブランド戦略を適用。これにより、マーケティングとプロダクト体験の一貫性が生まれ、Brazeプラットフォームの固有のニーズにも的確に対応しました。さらに、その戦略とコンセプトを具体的なデザインとして具現化する役割も担いました。

このようなプロジェクトの成功には、慎重な計画と関係者に合わせた丁寧なコミュニケーションが求められます。そのプロセスには以下の主要な施策が含まれます:

  • 戦略的ロードショー:ブランド戦略の発表後、プロダクトデザインチームが社内向けのロードショーを実施し、提案されたアップデートをリーダー層に提示。フィードバックを収集して次の改善に活かしました。
  • 関係者ごとのメッセージ調整:経営層向けには全体像を簡潔に、エンジニアリングチーム向けにはダッシュボードやプラットフォーム更新の具体的内容を詳しく伝えるなど、対象に応じてメッセージを調整しました。
  • 反復的なフィードバック:定期的なチェックインや社内ユーザーテストを通じて、ブランド刷新が企業全体の目標と整合し、社内外の期待に応えられているかを確認しました。

ブランド刷新の実行フェーズ:戦術的な取り組み

ブランド刷新を技術的に実装するにあたっては、BrazeのBeaconデザインシステムと、その基盤となるトークン構造に大幅な変更が加えられました。特に、シニアソフトウェアエンジニアのDan Garrett氏と、シニアプロダクトデザイナーのGracie Liu氏およびTaylor Ridgway氏が中心となり、この刷新がスケーラブルかつ効率的に実行されるよう貢献しました。以下が主なアップデート内容です:

  • デザイントークンの再構築:Beacon内のトークンシステムを見直し、新しいカラー、タイポグラフィ、余白(スペーシング)をサポートできるように再設計。これにより、将来的な変更や追加にも柔軟に対応できるようになりました。また、フィーチャーフラグ(機能切り替え機能)を活用することで、テーマの切り替えをスムーズに行えるようにし、既存のワークフローを中断させることなく段階的なアップデートを実現しました。
  • アクセシビリティへの対応:新ブランドのビジュアルをプラットフォームに組み込む際には、カラーデザイン理論と**アクセシビリティ基準(視認性やコントラスト)**を重要視しました。 特に、旧ブランドカラーから新ブランドカラーへの移行では、視覚に障がいのあるユーザーも使いやすいように、微妙な調整を加えて、コントラストと可読性を維持しました。
  • 段階的なロールアウト:刷新の影響を最小限に抑えるため、アップデートは段階的に導入。 まずはテスト版パッチを開発し、承認を得てから本番環境へ展開することで、ユーザーに対する混乱やトラブルを防ぎ、スムーズな移行を実現しました。
  • ナビゲーションの改良:ナビゲーションシステムにも手が加えられ、よりスリムで直感的なUIへと進化しました。新たに導入された「ナビゲーションの最小化」機能により、ユーザーが必要に応じて表示領域を広く使えるようになり、利便性が向上しました。
a diagram showing the difference between old and new colors .

おわりに

2024年のBrazeブランドの刷新は、統一感のあるプレミアムなユーザー体験を提供する私たちのジャーニーにおける極めて重要な瞬間です。この変革をマーケティングだけでなく、製品そのものにまで拡大することで、現代のマーケティング担当者を支援するという私たちのコミットメントをさらに強化しました。コラボレーション、イノベーション、戦略的先見性を原動力とするこの継続的な取り組みにより、Brazeは顧客エンゲージメントテクノロジーのスタンダードを確立し続けることができるのです。

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