公開 2025年5月07日/更新 2025年5月07日/11 分で確認
自社にAIの力を取り入れたいが具体的な方法がわからない――。
そのような悩みを解決できるかもしれないシステムが、AIエージェントです。活用が広がるAIの可能性をさらに広げる技術として注目されています。
この記事では、AIエージェントの特徴やメリット、種類や仕組み、注意点などをご紹介します。
AIエージェントとは、私たちの要望や課題を自律的に解決してくれる高度なAIシステムのことです。
例えば、ある課題を従来のITツールで解決する場合、ユーザーがツールの選定から利用方法までを考え、主体的に行動する必要がありました。しかし、AIエージェントでは、「○○をしたい」と要望を出すだけでAIが適切な解決策を検討し、必要な情報収集などの諸作業までを含めて対処してくれます。
AIエージェントは新しい概念であり、統一的な定義はありませんが、一般的にはAIシステムのなかでも以下の特徴を持つものを指します。
AI(人工知能)とは、学習や推論の機能により、従来とは一線を画す問題解決能力を持つITツールを指します。
その定義や詳細、導入のメリット・デメリットなどについては、以下の記事もあわせてご確認ください。
>>AIを導入・活用するメリット・デメリットとは?注意点や事例についても紹介
AIエージェントと生成AIの違いは、利用の形と目的にあります。
生成AIとは、学習済みのデータをそのまま返すのではなく、指示に応じて多種多様なコンテンツを生成できるAIのことです。コンテンツの生成を目的としており、ユーザーの指示にあわせて動作します。
一方、AIエージェントは、タスクの自動解決を主な目的としています。ユーザーがすべてを指示しなくても自律的に行動できるのが強みです。
生成AIについてより詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
>>生成AI(ジェネレーティブAI)とは?AIとの違いや特徴、活用メリットについて解説
AIエージェントが必要とされる理由は、導入によって自社業務の一部により素早く、より人手のかからない形で対処できるようになるからです。
近年大きな問題となっている人手不足やビジネス環境の高速化などを背景に、企業には業務の効率化が求められています。複雑なタスクに自律的に対処できるAIエージェントは、その解決策として有効とされています。
では、AIエージェントの具体的な特徴を確認していきましょう。
AIエージェントは自律的な行動を強みとしています。ユーザー側ですべてを指示しなくても、課題の解決策や必要なアクションを自ら検討し、対処してくれます。
対応策の判断まで自律的にこなせるAIエージェントは、タスクの自動化に重宝します。お問い合わせ窓口となるチャットボットは代表的な活用例です。
24時間365日、顧客からの声に返答しつつ、必要に応じて「後日担当者から連絡を差し上げます」とするなど、臨機応変に対応できます。
利用するAIエージェントによっては、自らの行動結果から今後の対応を学び、パフォーマンスを改善していけます。長く業務をこなすほどに成長していく姿は、AIの新入社員のようだと例えられることもあります。
AIエージェントは、サービスによってはローコード(ほとんどプログラミングが不要)、またはノーコード(完全にプログラミングが不要)で利用できます。自社に高度なIT人材がいない場合でも、導入のハードルは高くありません。
AIエージェントは主に4つのソフト・ハードウェアで構成されており、これらを組み合わせて稼働する仕組みです。少し複雑であるため、以下のカッコ内には自動運転車の例も併記しています。
【AIエージェントの仕組みとなる4要素】
続いて、AIエージェントの主な種類も見ていきましょう。なお、これらの種類のうち複数の特徴を備えたAIエージェントもあります。
反射エージェントはシンプルなAIエージェントで、事前に与えられたルール、あるいは内部モデル(環境)にもとづき行動します。それぞれ、単純反射エージェント、モデルベース反射エージェントと呼ばれます。
単純反射エージェントは、指定のルールによって行動するAIエージェントです。簡単な応答を行い、わからない問い合わせは「担当者から後日」などと返答するチャットボットがその一例です。
モデルベース反射エージェントは、単純反射エージェントの仕組みをベースに、環境情報などを内部モデルとして保存しておける種類です。適切に情報を取り出すことで、やや高度な意思決定も可能となっています。お掃除ロボットなどが代表例です。
目標ベースエージェントは、与えられた目標の解決を目指して段階的に行動するAIエージェントです。行動前に動作の結果を推測・検討するのが特徴で、反射エージェントよりも質の高いアクションを取りやすい傾向にあります。
効用ベースエージェントは、目標を達成することに加え、満足度や成果の最大化まで考慮できる種類です。自動車のルートナビゲーション用のAIエージェントを例に挙げると、目標ベースでは単に目的地までの走行距離などを判断しますが、効用ベースでは渋滞情報や通行料金も考慮できます。
学習エージェントは、タスクの実行結果を学習し自己成長していくAIエージェントです。ECサイトのレコメンドAIが理解しやすい例で、「このような状況ではこの商品を推奨すると購買率が良い」などと学んでいき、徐々にアクションが洗練されていく仕組みを備えています。
階層エージェントは、複数の下位AIエージェントを用意することで、より高度なタスクの解決を目指す種類です。この問題はどのAIエージェントに任せるべきかを判断する上位AIを用意したシステムを指します。
では、AIエージェントを自社に導入すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
AIエージェントは、人的・時間的・金銭的など、多様なコストの削減に寄与します。課題の解決策を検討する手間さえAIに負担してもらえる体験は、社員のモチベーションの向上にも役立つでしょう。
自社業務の一部をAIエージェントに託すことができれば、手が空いた人員が別の業務に取り組めるようになるため、企業としての生産性も自ずと高まります。多忙な日々のなかでは生まれにくい、よりクリエイティブなアイデアも発生しやすくなります。
AIエージェントはタスクの自動解決が一つの特徴ですが、人間の意思決定をサポートするシステムとしても有効です。膨大な顧客データを与えることでマーケティングに役立つインサイトを導き出し、プレゼンテーション用の資料形式で出力するなど、データドリブンな動きを加速できます。
業務を人の手からAIエージェントに移行させることは、単純な人為的ミスの削減にも効果的です。例えば、マーケティングメールの執筆を半自動化させてしまえば、数値の打ち間違いや宛先間違いのようなヒューマンエラーが減り、顧客満足度も向上していくでしょう。
ご紹介してきた通り、AIエージェントは強力なシステムですが、活用前には課題と注意点も理解しておくべきです。その3つのポイントを解説します。
AIエージェントに業務を任せれば任せるほど、セキュリティリスクは高まります。システムが悪意ある攻撃の被害に遭えば、自社業務は停止してしまいます。ビジネスレベルのセキュリティ体制の構築はもちろん、社員への啓発・研修なども重要です。
AIエージェントに顧客データなどの個人情報を取扱わせる場合は、プライバシーにも配慮が必要です。不正アクセスや社員の不手際によって個人情報が流出した場合、個人情報保護法やGDPRなどの法律に抵触するケースがあるほか、自社への風評被害も避けられないでしょう。
AIエージェントは、人間のような倫理的な価値観は持っていません。そのため、設定を誤れば、チャットボットが「当社では対応できないので他社にお問い合わせください」などと返答して顧客を遠ざけてしまうなど、人間では起こりにくいトラブルが発生する恐れもあります。安全な運用体制の検討は必須です。
Brazeでは、「BrazeAI™」としてマーケター支援向けのAIを提供しています。このシステムでは、カスタマージャーニーの全体を分析し、以下のような機能によってマーケターの負担を軽減します。
【BrazeAI™の機能の一例】
>>BrazeAI™
Brazeでは、また、コードネームProject Catalyst(開発中)と呼ばれるBrazeAI™エージェントを発表し、マーケターが洗練された顧客体験をより簡単に開始、提供できるよう支援できる仕組みを目指し、AIエージェントの開発を進めています。ぜひ一度、現在のマーケティングの課題を以下のリンクよりお知らせください。
解説した通り、AIエージェントは、与えられた要求や課題に対し、その解決策を自律的に検討してくれるAIシステムのことです。学習機能を備えているものもあり、利用するほどにパフォーマンスが向上していくなど、新時代のIT技術として注目されています。
自社のマーケティングの効率化やコスト削減に向け、「BrazeAI™」などのAIエージェント導入をぜひご検討ください。
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