公開 2024年4月04日/更新 2024年4月04日/12 分で確認
D2Cマーケティングとは、メーカーや製造業者が自社の媒体(主にECサイト)を用意して顧客に商品を直接販売する手法で、「Direct to Consumer」を意味しています。
顧客の消費行動がオンライン寄りに変化する中、D2Cマーケティングは時代に即したビジネスモデルとして注目されています。
D2Cの詳細や既存のビジネスモデルとの違いについては以下の記事でも解説しています。
>>D2Cとは?既存モデルやB2Cとの違い、メリット・デメリットについて徹底解説
D2Cマーケティングと似た言葉として「EC」「BtoB」「BtoC」などがありますが、それぞれ意味するところは異なります。具体的に解説します。
EC(Electronic Commerce)とは、インターネット通販に代表されるオンラインでの購買行動のことです。日本語では「電子商取引」と訳されます。
D2Cマーケティングが「自社が商品を直接販売するビジネスモデル」を指すのに対し、ECはその実現に向けた具体的な販売方法の一つにあたります。
BtoBとは企業を主な顧客とするビジネスモデル、BtoCとは消費者を主な顧客とするビジネスモデルのことです。想定する顧客像を表す用語で、それぞれ「Business to Business」「Business to Consumer」の略です。消費者と直接取引をするD2Cマーケティングは、BtoCの一種に含まれます。
ここまでの言葉の違いをあらためて表にまとめました。
【D2Cマーケティング・EC・BtoB・BtoCの違い】
用語
概要
D2Cマーケティング
自社ECサイトを用意するなど、自社が消費者に商品を直接販売するビジネスモデル。BtoCの一種
EC
電子商取引。インターネット通販など、オンラインでの購買行動のこと
BtoB
企業を主な顧客とするビジネスモデル
BtoC
消費者を主な顧客とするビジネスモデル
D2Cマーケティングが必要とされる理由には、オンラインでの購買行動が消費者に浸透し、企業視点で軽視できない販売チャネルとなったことが挙げられます。
経済産業省の「令和4年度電子商取引に関する市場調査」によれば、2022年のBtoC-EC(消費者の電子商取引)の市場規模は約22.7兆円。2013年の同市場規模は約11.2兆円であり、10年間足らずで2倍以上にまで拡大しています。
拡大の背景にはスマートフォンやSNSの普及があり、今後もこの流れは続くと予想されます。D2Cマーケティングの推進により、自社ECサイトから顧客に直接販売できる枠組みを作ることには、大きなビジネスチャンスが秘められています。
出典:経済産業省「令和4年度電子商取引に関する市場調査」
続いて、D2Cマーケティングのメリットを確認していきましょう。
自社ECサイトを主な販売媒体とするD2Cマーケティングでは、小規模からビジネスをスタートできます。実店舗を用意する必要がなく、小売業者や大手通販モールと契約を結ばなくてもよいため、販売開始までの金銭的・時間的・人的コストを抑えられます。
D2Cマーケティングにより顧客と直接やり取りできることは、それ自体が大きなメリットです。消費者と自社の心理的な距離が縮まるほか、ECサイトや自社運営のSNSなどを通じて顧客の生の声を獲得できます。
販売方法の自由度が高いのもD2Cマーケティングの特徴です。他社との協議や意思疎通が不要であり、考案した施策を素早く実践できます。価格設定、割引セールの実施、顧客の反応を見た上でのキャンペーン内容の調節など、いずれも自社単独で意思決定ができます。
顧客と直接やり取りをするD2Cマーケティングでは、本来なら小売店や通販モール側に留まりやすい顧客データも自社で収集・蓄積できます。
適切なITツールの活用により、時間帯や曜日別の売れ筋商品、同時購入されやすい商品なども分析でき、収益の改善と在庫管理の最適化に役立ちます。
D2Cマーケティングでは、顧客ロイヤルティ(自社や製品に対する愛着)を高められます。フットワークの軽い施策の実行、顧客との距離感の近いやり取り、データドリブンな意思決定など、ビジネスの理想型ともされるアクションを実現できるためです。
顧客ロイヤルティを高め既存顧客をリピーター化することの重要性については、以下の記事もあわせてご確認ください。
>>顧客ロイヤルティの重要性とは?向上させるメリットや顧客満足度との違いについて解説
D2Cマーケティングはメリットの多い手法ですが、その成功に向けてはデメリットも把握しておくことが求められます。ここでは、デメリットを3つご紹介します。
前述の通り、実店舗が不要なD2Cマーケティングは初期コストを抑えて小規模からスタートしやすいのがメリットです。しかし、自社のIT人材の充実度やブランドの知名度によっては、ECサイトの構築と集客施策に関するコストが初期費用として重くのしかかるケースもあります。
D2Cマーケティングは軌道に乗るまでに時間がかかりやすい施策です。大手通販モールに出店する際は出店直後からモールの利用者が訪問してくれますが、自社ECサイトの場合はゼロから集客をします。そのため、十分な予算や時間的余裕を確保することが大切です。
プロモーションを自社で行えるメリットは、自社単独で他社との差別化を実現しなければならないデメリットにも繋がります。知名度やブランド力が競合よりも劣る場合、思うように集客が進まないこともあります。
続いて、D2Cマーケティングの手法(D2C成功のための集客手法)と、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
SNSはD2Cマーケティングの代表的な手法です。自社アカウントを開設し顧客と直接やり取りすることで、自社をより身近に感じてもらえます。
【メリット】
【デメリット】
メルマガは古くからあるマーケティング手法であり、ノウハウが確立されています。「メルマガを申し込もう」と一定の興味を抱いてくれたユーザーにアプローチできるため、購買に直結しやすいのが魅力です。
【メリット】
【デメリット】
ユーチューバーの人気の高まりにより、YouTubeなどの動画サイトもD2Cマーケティングに活用できる宣伝の場となりつつあります。文章と比べて大量の情報を瞬間的に伝えやすいのがメリットです。
【メリット】
【デメリット】
6.4. オウンドメディア
自社製品と関連した分野のオウンドメディアを作り検索エンジンからのWeb集客を実現するのも、D2Cマーケティングの手法です。目的のKWで上位に表示させることができれば、多くのユーザーの集客を見込めます。
【メリット】
【デメリット】
ポップアップストアとは、イベント会場などに期間限定で出店する実店舗系の施策です。本来のD2Cはオンラインで完結する形が主流ですが、最近ではオンラインとオフラインの中間的施策として注目されています。
【メリット】
【デメリット】
LTV(Life Time Value)とは、ある顧客が生涯でどれだけの利益を自社にもたらしてくれるかを表す指標です。転じて、取引期間の延長や顧客単価の上昇など、既存顧客との関係強化を目指す取り組み姿勢を指します。
【メリット】
【デメリット】
LTVの重要性やLTVを高める方法は以下の記事で解説しています。
>>LTVの重要性や顧客の定着化を図るために−計算方法や高めるためのポイント
KOL(Key Opinion Leader)とは、特定分野に関して発信力や影響力のある消費者のことです。ある分野に特化したインフルエンサーのことであり、自社に好意的な意見を発信してもらえれば優れた集客施策となります。
【メリット】
【デメリット】
ここまでご紹介したメリットやデメリット、手法を踏まえた上で、最後にD2Cマーケティングを成功させるためのポイントを3つご紹介します。
一つ目のポイントは、カスタマージャーニーマップの作成です。自社製品との出会いから購入までの顧客の感情を推測するカスタマージャーニーマップでは、どのような集客チャネルが必要で、現状どこに問題があるのかを明確化できます。
カスタマージャーニーマップの作り方や有効性については以下の記事をご覧ください。
>>顧客理解を深めるための「カスタマージャーニー」とは?作り方や注意点について紹介
2つ目のポイントは、ブランドイメージを明確化し、D2Cマーケティング全体に適用することです。自社ならではの世界観の構築と提供が、他社との差別化の解決策となります。
例えば、「肌の弱さに悩んでいた店主が自分と同じ悩みを持つ方に使ってほしいと考案した化粧品」がコンセプトなら、原材料はもちろん梱包資材まで人や環境に優しいものを選択することで、独特の世界観を生み出せるでしょう。
3つ目のポイントは、顧客データの可視化・活用の手段としてITツールを導入することです。
例えば、マーケターの日常業務をお手伝いするツール「Braze」では、扱いやすく高性能なデータ収集・分析機能により顧客ニーズを把握できます。カスタマージャーニーマップの作成や最適な集客チャネルの分析といった、D2Cマーケティングの実践に欠かせない作業をサポートします。
>>Brazeへのお問合せやマーケティングに関するお悩みの相談はこちら
D2Cマーケティングとは、メーカーや製造業者が自ら顧客に商品を販売するビジネスモデルです。消費者と直接コミュニケーションが取れる、スモールスタートができるなどのメリットがあります。一方、成果を得るまでには時間が必要とされるため、いち早く取り組みを始めることが求められます。この記事を参考にしつつ、ITツールも上手に導入・活用しながら、D2Cマーケティングをぜひ成功させてください。
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