公開 2024年8月27日/更新 2024年8月27日/10 分で確認
「ChatGPTをより自由に扱いたい」という時、ほかのプログラムなどと連携して活躍するのが、ChatGPT APIです。
この記事では、ChatGPT APIの特徴やできること、実際の使い方や活用メリットなどをご紹介します。使用前に知っておくべきポイントも押さえていきましょう。
ChatGPT APIとは、ほかのプログラムやソフトウェアとChatGPTを連携させるための仕組みです。名前のAPIとは「Application Programming Interface」の略称で、プログラムやソフトウェア同士を連携させる技術を意味します。
元々ChatGPTはWebブラウザからのみ利用できましたが、ChatGPT APIを活用すればほかのアプリケーションやITサービスと一緒に動かせるようになります。
例えば、顧客へのメルマガ送信を管理するソフトウェアで文章の作成をAIに任せられるなど、必要な時に必要な環境でChatGPTを呼び出せるイメージです。
ChatGPT APIはChatGPTを呼び出すための仕組みです。ChatGPTができることの大部分はChatGPT APIでも実行できます。
そのため、できることとしては下記のようなものがあります。
ChatGPTのビジネスでの活用例は以下の記事でご紹介しています。
>ChatGPTをビジネスで活用するために知っておくべきこととは-活用メリットや注意点
ChatGPT APIは有料のサービスであり、「Input(ChatGPTへの入力)」と「Output(ChatGPTからの出力)」のたびに料金が発生します。利用料金はトークンという単語の断片のようなものの使用量で判断され、日本語の場合は「1文字=約1~3トークン」で換算されます。
また、ChatGPT APIの料金は呼び出すモデルによっても変わります。以下は、2024年7月21日現在の主要なモデルの料金です。
出典:OpenAI社「Pricing」 ※2024年7月21日 https://openai.com/api/pricing/
1Mとは100万のこと。すなわち、GPT-4oで100万トークンの出力をすれば、15ドルの料金となります。支払いはクレジットカードに対応しています。
なお、右側のBatch APIとは、「リアルタイムではなく24時間以内に応答する代わりに安価なAPI」を指します。料金が通常のおよそ半額に割引されており、即時応答が必要のないタスクであれば、こちらを活用することで費用を節約できます。
では、ChatGPT APIの使い方を画像つきで確認していきましょう。
最初にOpenAI社の公式ページにアクセスし、右上の「Sign UP」からOpenAIのアカウントを開設します。画面の指示にしたがってメールアドレス・氏名・電話番号などを順番に入力し、登録を完了させましょう。
既にAPIではないChatGPTを利用している場合は、隣の「Log in」から自身のOpenAIアカウントでログインできます。
ログイン完了後は、APIキーと呼ばれる文字列を取得します。APIはこのキーを認証に使って稼働する仕組みであり、文字列の内容は決して他人に教えてはいけません。
右上の「Dashboard」を開き、左側のメニューの最下部「API Keys」を選択して上記の画面に移動しましょう。移動後は下部の「Create new secret key」を押します。
すると、APIキーの設定画面が現れます。一番下の「Permissions」ではChatGPT APIに許可する動作を細かく設定できますが、今回はデフォルトの設定で右下の「Create new secret key」を選びましょう。
選択後は、画面に「Save your key」と英数字の文字列が表示されます。これがChatGPT APIのAPIキーです。他者に確認できない形で保管しておきましょう。
続いて、ChatGPT API利用料金の支払いに向けてクレジットカードの登録を行います。右上のネジのマーク(Settings)→左側メニューの「Billing」と進み、中央緑色の「Add Payment details」を選択します。
すると、「個人登録(Individual)」か「企業登録(Company)」かを質問されます。個人を選んだ場合はクレジットカード情報と住所、企業を選んだ場合はそれに加えて法人番号の入力が求められます。画面に従って登録を完了しましょう。
支払い方法の登録まで完了したら、準備は完了です。実際にAPIキーを用いて、自社のアプリケーションにChatGPT APIを導入します。
以下は、OpenAI社が公開している、Windowsにおける「ChatGPT APIキーをセットするためのコード」と「実際に呼び出すためのコード」の例です。
【ChatGPT APIキー登録用のコード】
setx OPENAI_API_KEY "your-api-key-here"
【ChatGPT APIを呼びだすコード】
from openai import OpenAI
client = OpenAI()
completion = client.chat.completions.create(
model="gpt-4o-mini",
messages=[
{"role": "system", "content": "You are a poetic assistant, skilled in explaining complex programming concepts with creative flair."},
{"role": "user", "content": "Compose a poem that explains the concept of recursion in programming."}
]
)
print(completion.choices[0].message)
出典:OpenAI社「Developer quickstart」より引用
https://platform.openai.com/docs/quickstart
ただし、事前にPythonのインストールを行う必要があるなど、必要な手順は自社の状況次第で変わります。詳細は以下のページをご確認ください。
>OpenAI社「Developer quickstart」
続いて、ChatGPT APIを活用するメリットを解説します。
ソフトウェアやアプリケーションを開発する場合、ChatGPT APIの活用により開発期間を短縮できます。一部の機能をChatGPTの呼び出しで解決すれば、すべての機能を自前で開発する必要がなくなるためです。限られた人的・時間的リソースを効率よく配分できるようになります。
ChatGPT APIはChatGPTを呼び出すための仕組みです。通常のChatGPTとほぼ同様に、業務のマニュアル構築、英語文章の翻訳、定型文書の半自動作成など、多様なタスクを任せられます。呼び出すモデルによっては文章だけでなく画像や音声を作成することも可能です。
ChatGPT APIを自社のソフトウェアに導入すれば、一つのアプリ内で幅広いタスクに対応できるようになり、UX(ユーザーエクスペリエンス)を向上できます。生成AIの特性を活かし、「話しかけるたびに新たな返答を返してくれるキャラクターチャットボット」のような新時代のサービスも提供できます。
ChatGPT APIを活用する際には、以下のようなポイントを押さえておく必要があります。
ChatGPT APIは無料トライアルを提供している場合があります。2023年1月ごろには、OpenAI社のアカウント登録と同時に18ドル分の無料クレジットが受け取れました。無料トライアルの開催時にはぜひ有効に活用しましょう。
ChatGPT APIの利用時は、OpenAI社が定める規約の順守が必要です。例えば、ブランドガイドラインでは「自社が提供するアプリケーションがOpenAI社のものだと誤認させるような表記」を禁止しています。
例:
許容される表記「Tagline: AI Analytics Platform」
許容されない表記「Tagline: Built using OpenAI API」
出典:OpenAI社「Brand guidelines」より引用
そのほかにも、「Written with ChatGPT」の表記はOKで「Written by ChatGPT」はNGであるなど、細かなルールが存在します。各種ガイドラインは必ず熟読しておきましょう。
ChatGPT APIは通常のChatGPTに比べ、チャット内容がAIの学習に使用されないことから、セキュリティの観点で優れています。ただし、「外部とデータをやり取りする」という特性上、不必要に社外秘の情報を与えないなど、情報漏洩のリスクは考慮すべきでしょう。
ChatGPT APIが生成する内容は必ずしも正しいとは限りません。生成AIにはもっともらしい嘘や誤情報を断言してしまう欠点があり、このような現象は「ハルシネーション」と呼ばれています。誤った情報の生成が致命的な結果を生むタスクでは、慎重に採用の可否を判断すべきです。
最後に、ChatGPT APIのトークン消費に関して注意点と節約方法をご紹介します。
ChatGPT APIは、過去のやり取りを考慮した生成をさせるほど消費トークンが増加します。例えば、1回目の生成で消費されるトークンは「Input:指示文A」「Output:回答文A」のみですが、2回目の生成では「Input:指示文A 、回答文A、指示文B」「Output:回答文B」とInputが増加していきます。本当に必要な場面に限って実装するなど、トークン節約の意識が大切です
トークンは日本語では「1文字=1~3トークン」が基本ですが、英語では原則「1ワード(文字ではなく単語)=1トークン」で計算されます。そのため、日本語よりも英語のやり取りの方がトークンを節約しやすい傾向にあります。可能であれば英語で入出力をすることも視野に入れましょう。
なお、文章の具体的なトークン数はOpenAI社の以下のページで計算可能です。
>>OpenAI社「Tokenizer」
ChatGPT APIとは、ChatGPTをほかのアプリケーションと連携させるための仕組みです。自社が開発中のソフトウェアの一部機能をChatGPTに任せることができれば、開発コストを削減できます。
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